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2 交通犯罪の裁判 昭和47年以降の5年間について,業務上(重)過失致死傷事件(その大部分は,自動車交通によるものである。)のうち,通常第一審及び略式手続で有罪の裁判があったものの総数とその科刑の状況を見ると,II-17表のとおりである。業務上(重)過失致死傷により有罪の裁判を受けた者の数は近年減少しつつあるが,51年では前年より1万1,339人増加して29万5,531人となっている。有罪裁判を受けた者のうち自由刑に処せられたものの占める割合は,51年では3.4%となっている。実刑言渡率は,懲役・禁錮のいずれについても低下する傾向にあり,51年では,懲役で33.3%,禁錮で17.5%となっている。
II-17表 業務上(重)過失致死傷第一審科刑状況(昭和47年〜51年) 昭和51年に通常第一審で業務上過失傷害により自由刑を言い渡された者6,293人について,刑種及び刑期分布を見ると,53.5%が懲役に,46.5%が禁錮に処せられており,懲役・禁錮共に6月以上1年未満の刑期が7割以上を占めている。また,51年に通常第一審で業務上過失致死により自由刑を言い渡された者3,746人について見ると,22.0%が懲役に,78.0%が禁錮に処せられており,その刑期は懲役では1年以上2年未満が多く,禁錮では6月以上1年未満が多い。昭和47年以降5年間の業務上(重)過失致死傷の通常第一審における実刑言渡率を見ると,II-18表のとおりである。業務上(重)過失致死傷についての実刑言渡率は,全体として48年以降低下し続けており,51年では24.1%となっている。罪名別に51年を前年と比べると,重過失致死傷の実刑言渡率の低下が著しい。 II-18表 業務上(重)過失致死傷通常第一審実刑言渡率(昭和47年〜51年) II-19表は,昭和51年に簡易裁判所で略式命令を受けた業務上過失致死傷事件について,傷害・致死の別に罰金額の分布を見たものである。業務上過失傷害では,総数中に占める5万円以上の罰金の比率は41.9%,業務上過失致死では,10万円以上の罰金の比率が88.5%となっている。昭和51年における道路交通法違反事件の科刑状況を見ると,通常第一審の有罪人員は6,664人で,その内訳は,懲役・禁錮の実刑が1,624人,懲役・禁錮の執行猶予が5,040人となっている。また,罰金・科料は1,422人(うち,科料3人)である。略式・即決手続では,有罪総人員(罰金・科料)は,188万5,347人(うち,科料2万1,544人)となっている。 II-19表 業務上過失致死傷略式命令の罰金金額別人員(昭和51年) |