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 昭和53年版 犯罪白書 第2編/第1章/第1節/5 

5 交通犯罪の検察

 昭和43年以降10年間における業務上(重)過失致死傷事件(その大部分は,自動車交通によるものである。)及び道路交通法違反事件の検察庁新規受理人員の推移を全事件及び刑法犯の新規受理人員と比較してみると,II-9表のとおりである。52年の業務上(重)過失致死傷事件新規受理人員は,前年に比べて1万4,807人減少して46万262人となり,その刑法犯全体中に占める割合は,55.3%となっている。道路交通法違反事件が全事件中に占める割合は,43年7月から施行された交通反則通告制度(少年に対しては,45年8月から適用された。)によって45年には52.5%にまで低下したが,その後逐年上昇し,52年では68.9%となっている。その業務上(重)過失致死傷と道路交通法違反事件の両者を合わせたいわゆる交通事犯による受理人員が全事件の受理人員総数中に占める割合は,52年には82.2%となっている。
 昭和48年以降最近5年間における道路交通法以外の交通関係法令違反の検察庁新規受理人員を見ると,II-10表のとおりである。52年の新規受理人員を前年と比較すると,道路運送車両法違反の増加が目立っている。これは,主として,自動車検査及び自動車検査証関係の違反等が増加したことによるものである。

II-9表 交通事犯検察庁新規受理人員(昭和43年〜52年)

II-10表 交通関係法令違反検察庁新規受理人員(昭和48年〜52年)

 次に,交通犯罪のうち業務上過失致死傷及び重過失致死傷について,昭和48年以降最近5年間の検察庁における処理状況を見ると,II-11表及びII-12表のとおりである。業務上過失致死傷の起訴率は,52年では前年よりやや上昇して68.3%となっている。その内訳については,起訴の大部分は略式命令請求であり,公判請求は例年どおりの3.6%である。重過失致死傷の起訴率は逐年低下しており,52年では36.8%となっている。また,そのうちの自動車等による重過失致死傷の起訴率の低下も著しく,52年では39.0%となっている。
 道路交通法違反の処理状況を見ると,II-13表のとおりである。その起訴率には上昇傾向が見られ,52年では97.3%となっている。

II-11表 業務上過失致死傷の検察庁終局処理人員及び構成比(昭和48年〜52年)

II-12表 重過失致死傷の検察庁終局処理人員及び構成比(昭和48年〜52年)

II-13表 道路交通法違反検察庁終局処理人員及び構成比(昭和48年〜52年)