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 昭和53年版 犯罪白書 第1編/第2章/第5節/1 

第5節 精神障害者の犯罪

1 概  況

 昭和52年における交通関係の業過を除く成人刑法犯検挙人員24万3,945人のうち,精神障害者又はその疑いのある者は,2,189人,0.9%であって,この割合は,例年ほとんど変わっていない。その罪名を見ると,I-46表のとおり,窃盗が最も多く,以下,傷害,殺人,詐欺,放火,暴行と続いているが,罪名ごとの検挙人員中に占める比率では,放火及び殺人における高率が特に目立っている。
 次に,少年の場合について見ると,昭和51年に一般保護事件として家庭裁判所の終局処分の決定があった17万1,060人のうち,精神判定(少年鑑別所の鑑別及び家庭裁判所の調査段階における精神状態に関する判定等をいう。)を受けた者は,1万1,402人であるが,この精神判定終了者について,非行名別精神障害者の比率を見ると,I-47表に示すとおり,精神障害者は,554人,4.9%であって,前年の5.0%とほとんど差はない。この554人について非行名別に見ると,人員では窃盗が最も多くなっているが,比率では,やはり放火,脅迫,殺人及びわいせつの高率が目立っている。

I-46表 成人刑法犯検挙人員中精神障害者の罪名別人員・比率(昭和52年)