前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 昭和53年版 犯罪白書 第1編/第2章/第4節/2 

2 収  賄

 前出のI-42表に見るとおり,昭和52年における収賄の検察庁新規受理人員は,前年に比べて137人減少して595人となっている。
 I-44表は,警察庁の統計により,昭和42年から46年までの5年間(以下本節において「前期」という。)とこれに続く47年から51年までの5年間(以下本節において「後期」という。)について,それぞれ賄賂罪で検挙された人員の多かった公務員(いわゆる「みなす公務員」を含む。)の職種につき上位の10位までを掲げて,その比較をしてみたものである。前期・後期共に,地方公共団体の各種議員及び土木・建築関係の地方公務員の検挙人員が多いが,この両者が検挙人員総数中に占める比率は,前期の33.9%から後期の49.6%へと増加している。また,前期2位であった「地方公共団体の各種議員」が後期で1位となっており,その実数も顕著に増加を示していることが注目される。なお,上位10位に限らないで贈収賄事件の全検挙人員について見ると,後期は前期に比べて実数で590人,比率で24.3%減少しているが,地方公務員関係者の検挙人員は,前期の1,578人から1,488人へと実数で90人,比率で5.7%の減少にとどまり,その検挙人員総数中に占める比率は,前期の64.9%から後期の80.8%へと逆に上昇しており,近年における地方公務員関係者による事犯の多発傾向が明らかである。

I-43表 公務員犯罪主要罪名別起訴・不起訴人員及び起訴率(昭和50年〜52年)

I-44表 贈収賄事件公務員所属別検挙人員(昭和42年〜46年,47年〜51年)

 次に,収賄事件の通常第一審における科刑状況を昭和42年及び47年から51年までの最近5年間について見ると,I-45表のとおりである。1年以上の刑に処せられた者の占める割合は,51年では45.8%で,47年以降の最近5年間では最も高率となっている。この種事犯に対する執行猶予率は依然として高く,51年では93.2%となっている。

I-45表 収賄罪通常第一審料刑別人員(昭和42年,47年〜51年)