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1 女性刑法犯の概況 昭和51年の我が国における交通関係業過を除く刑法犯の検挙人員総数は,35万9,360人であるが,その男女別内訳は男性が29万2,084人,女性が6万7,276人となっている。男性の検挙人員は前年に比べて1万601人減少しているのに対して,女性の検挙人員は5,844人増加している。したがって,検挙人員に占める女性の比率(以下「女性比」という。)も,前年の16.9%から18.7%へと上昇している。最近5年間の男女別検挙人員の推移を見ても,III-92表に示すとおり,男性検挙人員がその人口比において47年の7.5から51年には6.9に減少しているのに対して,女性検挙人員は逐年増加を続け,女性の場合の人口比も47年の1.1から51年の1.5にまで上昇している。
III-92表 男女別刑法犯検挙人員の推移(昭和47年〜51年) また,昭和51年の交通関係業過を除く刑法犯検挙人員の年齢層別・男女別人員及び女性比を50年のそれと比較したものがIII-93表である。各年齢層で女性の人員が増加し,女性比も高まっている。なお,検挙人員の年齢層別構成比を見ると,男女それぞれの年齢層別構成比において,40歳以上の場合女性が男性を上回っていることは,50年も51年も同様であるが,51年において注目されることは,20歳未満の場合にも女性が男性を上回るようになったことである。次に,III-94表は,刑法犯主要罪名別に,昭和51年の男女別検挙人員及び女性比を前年と対比して示したものである。女性検挙人員の圧倒的多数を占めるものは,50年・51年共に窃盗であり,51年においては,女性検挙人員の86.1%を占めているが,50年では,84.2%であった。ちなみに,男性の場合の窃盗の構成比は,50年が48.5%,51年が49.3%である。窃盗以外の罪名で女性検挙人員が比較的多いものは,詐欺,横領であるが,その女性比も前年より高くなっている。女性比が高く,その意味での典型的な女性犯罪としては,嬰児殺が挙げられるが,51年において,その女性比は87.5%で,前年より若干減少している。他方,自殺関与,窃盗,殺人,尊属殺の女性比は,前年より高くなっている。 III-93表 交通関係業過を除く刑法犯年齢層別・男女別検挙人員(昭和50年,51年) III-94表 刑法犯主要罪名別・男女別検挙人員(昭和50年,51年) III-11図は,昭和51年の主要罪名別検挙人員の男女別・年齢層別構成比を見たものである。強盗,強盗致死傷,恐喝,強姦・強姦致死というような凶悪犯・粗暴犯による女性検挙人員は,絶対数そのものはそれほど多いとは言えないが,その中で,20歳未満の者の占める比率は圧倒的に高く,最近の女性犯罪の一つの特徴を示すものと言えよう。III-11図 刑法犯主要罪名別・男女別・年齢層別構成比(昭和51年) |