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 昭和52年版 犯罪白書 第3編/第1章/第1節/3 

3 女子少年犯罪

 最近における女子少年犯罪は,量的な急増傾向に加えて質的にも転換しつつあると言える。
 昭和41年以降の女子少年刑法犯の検挙人員を罪種別に示したIII-8表及び51年と41年の少年刑法犯について,罪名別に男女少年の構成比を比較したIII-9表によると,51年の検挙人員及び女子比(少年刑法犯の検挙人員中に占める女子少年の比率)は,41年以降最大の数値を示し,その増加には著しいものがある。特に,45年以前において極めて低率であった女子比は,46年に1割を超えたのち,引き続き増勢を示し,51年では,少年刑法犯の約2割を占めるに至り,41年の約2.5倍に達し,その上昇率は著しく大きい。
 また,昭和51年における罪名別の構成比を見ると,窃盗は前年より更に増加して92.7%という高率を占め,依然として女子少年犯罪を特徴づける罪種となっている。その他の罪名の実数及び構成比は極めて小さい。しかし,両年の女子比を対比すると,51年では,横領,わいせつ,放火を除く他のすべての罪種について増大し,特に,恐喝,傷害・暴行等の粗暴犯や強盗,強姦(男子少年等との共犯による)等の凶悪犯の上昇ぶりが目立っている。最近における女子少年犯罪の急激な増加傾向とともに,その質的な変化を示すものとして,今後の推移を見守る必要がある。