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 昭和52年版 犯罪白書 第2編/第3章/第5節/3 

3 我が国における公衆参加の特徴

 我が国における公衆参加の状況について,欧米諸国と比べて特徴的と思われるものを挙げると,おおむね次のようになる。
 [1] 我が国では,公衆参加の形態が,篤志家・団体の役割,機能に応じて分化しており,処遇に直接関与する保護司や更生保護会は,法律によってその資格要件が規定され,各種の責任が課されていて,他の法的根拠のない篤志家・団体と判然と区別されている。また,後者の場合でも,婦人,若者,雇用主等と,その特質・機能に応じて統一的に組織され,それぞれ連合組織を結成している。これに対し,他の国においては,地域別に各種各層の篤志家から構成されている団体が多く,また,宗教,職業等を同じくする者により結成された篤志団体で,更生保護の分野のほかに,社会福祉その他の分野でも活動しているものが見られる。
 [2] 我が国では,篤志家である保護司が処遇の実施者として,保護観察官と協力して対象者の保護観察に当たっているが,対象者に比べて保護観察官の人員は極めて少ないので,保護司が処遇の大部分を担当することを余儀なくされている現状である。
 アメリカやイギリスでは,犯罪者の処遇はいわゆるソーシアル・ワークの訓練を経た有資格の専門家が担当すべきものとされ,篤志家には,専門家の行う処遇を拡充・強化する趣旨から,その有する特技,能力,人格等に期待がかけられている。西ドイツやフランスでは,篤志家に処遇を担当させる場合は,裁判官が指名するが,事案の困難性その他の事情を考慮して対象者を割り当てる。
 [3] 我が国では,篤志家が経営する保護施設は,一定の要件を満たしていなければならず,しかも国が監督するため,比較的均一化されている。被保護者は特定範囲の犯罪者,刑余者に限られている。他の諸国では,犯罪者はもちろんその家族も共に保護できる施設や,アルコールや麻薬等中毒経験者のみを収容保護する施設などが設けられており,保護の対象が広く,また,施設の種類が豊富である。
 更生保護における公衆参加の状況は,国によって異なり,その国独自の組織や活動方法が展開されている。一般に,更生保護を受ける犯罪者の多くは心理面,社会面で種々の問題を持っており,このような犯罪者の改善更生のためには,適切な助言・指導のほかに,社会の人的・物的諸資源を開拓し,これを本人と結びつける仕事を更に発展させることが必要であり,各国のすう勢もこの方向を取っていると言える。