前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 昭和52年版 犯罪白書 第2編/第3章/第3節/3 

3 更生保護会

 更生保護会は,法務大臣の認可を受けて,更生保護事業を営む民間団体であって,更生緊急保護の対象者はもちろん,保護観察対象者などを,保護観察所長の委託により,又は自ら任意に受け入れて,宿泊させ,食事の給与,教養,訓練,就職の援助,環境の改善などを行い,本人の更生を図っている。
 昭和52年5月1日現在における更生保護会の保護施設の数と収容定員は,II-79表に示すとおりである。保護施設の総数は105で,収容定員は2,928人である。性別又は年齢(成人・青少年)別によって,収容対象を特定している保護施設が多い。実際に収容されている人員は,収容定員の約50%である。これらの更生保護会に保護される者は,心身両面に多くの問題を有し,親族・縁故者から見離され,適当な帰住先がないなど,正常な社会生活に適応することが極めて困難な事情下にあり,しかも,再犯の危険性の高い累犯者が大部分を占めている。更生保護会では,経済的,物質的援助だけではなく,生活態度改善のための補導,交友や家庭の調整等に格別の努力を払っている。
 更生保護会に対しては,被保護者に対する補導,宿泊,食事給与等直接保護に要する費用や,事務に要する費用について,国から委託費が支給されるほか,施設の改善に要する経費等の補助が行われている。更生保護会は,定員まで収容することができるよう常時準備しているので,その規模に応じた人件費及び運営経費を必要とするが,委託費は実際に保護した人員に応じて支給されるだけであるため,更生保護会には,経営の苦しいものが少なくない。更生保護会が,全国的に,実効ある活動をするためには,その経済的基盤の安定化と職員の充実強化が特に必要である。

II-79表 更生保護会の種類別保護施設数と収容定員(昭和52年5月1日現在)