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2 保護観察の対象者 保護観察の対象者は,[1]家庭裁判所の決定により,保護観察に付された者(以下「保護観察処分少年」という。),[2]地方更生保護委員会の決定により,少年院から仮退院を許された者(以下「少年院仮退院者」という。),[3]地方更生保護委員会の決定により,刑務所から仮出獄を許された者(以下「仮出獄者」という。),[4]刑事裁判所の判決により,刑の執行を猶予され,保護観察に付された者(以下「保護観察付執行猶予者」という。),[5]地方更生保護委員会の決定により,婦人補導院から仮退院を許された者(以下「婦人補導院仮退院者」という。)である。
II-63表は,最近5年間における保護観察事件の受理及び年末現在人員を対象者別に見たものである。受理人員について見ると,全体として昭和49年まで減少し続けたが,その後増加して,51年には4万8,791人となり,前年に比べて3,833人(8.5%)の増加となっている。これは,主として保護観察処分少年及び保護観察付執行猶予者の増加によるものである。少年院仮退院者は,近年減少傾向にあったが,51年には前年より478人(30.0%)増加している。一方,仮出獄者は,減少の一途をたどっている。51年における保護観察種別新受入員及びこれが受理総数中に占める割合は,保護観察処分少年が2万3,981人(49.2%),少年院仮退院者が2,071人(4.2%),仮出獄者が1万4,671人(30.1%),保護観察付執行猶予者が8,068人(16.5%)である。 年末現在人員は,最近,総数において減少傾向にあったが,昭和51年には前年に比べて1,680人(2.5%)増加し,6万9,510人となっている。これを保護観察種別構成比で見ると,保護観察処分少年が55.0%,少年院仮退院者が3,5%,仮出獄者が9.5%,保護観察付執行猶予者が32.0%である。 次に,昭和51年の新受入員を,性別及び年齢層別に見たのがII-64表である。性別では,女性の総数中に占める割合は3.8%で,この比率は例年大差がない。これを堡護観察種別に見ると,少年院仮退院者のそれが最も高くて7.4%,仮出獄者のそれが最も低くて2.2%である。年齢層別構成比では,保護観察処分少年と少年院仮退院者は,ほとんどの者が19歳以下の年齢層に含まれており,このため全体としては,19歳以下の少年の占める割合が53.3%に達している。仮出獄者及び保護観察付執行猶予者では,19歳以下の者は極めて少数であるが,20歳代の者は,仮出獄者中39.8%,保護観察付執行猶予者中53.9%を占めている。 II-63表 保護観察事件の受理及び年末現在人員(昭和47年〜51年) また,昭和51年の新受入員を,罪名・非行名別にその構成比を見たのがII-65表である。総数では,窃盗が29.7%を占めて最も高く,次いで,道路交通法違反(23.7%),業務上(重)過失致死傷(13.3%)となっている。これを保護観察種別に見ると,保護観察処分少年では,道路交通法違反(42.2%),窃盗(21.0%),業務上(重)過失致死傷(16.4%)などの占める率が高い。少年院仮退院者では,窃盗の占める率が54.9%で特に高く,また,虞犯(8.6%),強姦(8.1%),恐喝(6.2%),傷害(5.1%)などの占める率もやや高くなっている。仮出獄者で高い率を示しているのは,窃盗(37.5%)で,以下,業務上(重)過失致死傷(12.5%),詐欺(7.0%),強姦(6.4%),傷害(6.0%)となっている。保護観察付執行猶予者では,窃盗が最も高くて34.6%を占め,次いで,道路交通法違反(10.2%),覚せい剤取締法違反(10.1%),業務上(重)過失致死傷(8.8%),傷害(8.5%)となっている。 II-64表 新受人員の性別・年齢層構成(昭和51年) II-65表 新受人員の罪名・非行名別人員(昭和51年) |