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 昭和52年版 犯罪白書 第1編/第1章/第8節/1 

第8節 外国人犯罪と日本人の国外犯

1 外国人犯罪

 我が国に在留する外国人は,昭和51年12月末日現在,外国人登録法に基づき登録されている者だけで,75万3,924人である。これを10年前の41年12月末日における登録人員66万8,318人と比べると,8万5,606人の増加である。登録総人員のうち,韓国・朝鮮国籍を有する者は,65万1,348人で,全体の86.4%を占めている。
 I-48表は,最近5年間における検察庁新規受理人員中の外国人犯罪について示したものである。昭和51年は,実数においても,比率においても,前年より減少している。これを,51年について主要罪名別に示したのが,I-49表である。外国人の占める割合の高いのは,外国人登録法,出入国管理令,大麻取締法,麻薬取締法などの特別法違反であり,いずれも40%以上である。刑法犯について外国人の占める割合は,全体では2.9%にとどまっているが,強盗致死傷・強盗強姦(6.2%),恐喝(5.6%),強盗(5.0%)などは,比較的高い割合を示している。51年においては,全体的に見て,外国人犯罪は,韓国・朝鮮国籍者によるものが大部分(刑法犯で88.3%,特別法犯で77.5%)であるが,大麻取締法,麻薬取締法の各違反は,これとは対照的に,それ以外の外国人によるものが大部分(大麻につき98.2%,麻薬につき93.0%)である。また,51年には,国際刑事警察機構(ICPO)から国際手配を受けていたウルグァイ人による現金両替詐欺事件,ペルー,オランダ,イタリア等で窃盗の前科を持つ国際的すり常習犯によるすり事件の発生などもあり,我が国がこれらの国際的常習犯罪者の暗躍の場となったことも注目される。

I-48表 検察庁新規受理人員中外国人の占める比率(昭和47年〜51年)

I-49表 主要罪名別検察庁新規受理人員中外国人の占める比率(昭和51年)