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1 内ゲバ事犯 I-33表は,昭和44年から51年までの組織間の対立抗争に基因する暴力事犯(以下「内ゲバ事犯」という。)の発生及び検挙状況を見たものである。51年の発生件数は,前年に比べて138件減少して91件となっているが,これはこの種事犯の最も多発した44年の30.0%である。また,51年の内ゲバ事犯による死傷者数も,前年に比べて368人減少して195人(うち,死亡者3人)となっている。
I-33表 内ゲバ事犯発生・検挙状況(昭和44年〜51年) このように,最近の内ゲバ事犯の発生件数は減少しているが,その反面,犯行の計画性・機動性が一段と強まり,発生地域が広域化し,犯行の態様も集団対集団の衝突から個人テロ的なものへと変容し,殺傷力の強い凶器を用いるなど,凶悪かつ残忍化していることが指摘される。最近における凶悪化の事例としては,昭和52年4月15日浦和市内の県道上において,革マル派幹部ら4人の乗車するマイクロバスを,2台の貨物自動車で前後から襲い,つるはし等で車両の窓ガラスを破壊しガソリンを注ぎ込んだうえ放火し,車内の4人を焼殺して逃走した事犯が挙げられよう。この種事犯を過激派のセクト別に見ると,依然として中核派対革マル派の抗争事件が多く,51年では,全体の50.6%を占めている。次に,昭和47年から51年までに受理した内ゲバ事件について,事件受理年別に,全国の検察庁における受理人員及びこれに対する処理の状況を見ると,I-34表のとおりである。51年の受理人員は172人,これに対する処理人員は163人となっている。51年における起訴率は,前年より増加して41.3%となっている。 I-34表 内ゲバ事件検察庁受理・処理人員(昭和47年〜51年) |