前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 昭和52年版 犯罪白書 第1編/第1章/第2節/1 

第2節 特別法犯の概況

1 概  説

 I-23表は,昭和51年における特別法犯の検察庁新規受理人員を前年との対比において示したものである。
 昭和51年における道交違反を除く特別法犯の検察庁新規受理人員は,15万2,593人であり,前年に比べて,1万5,218人(9.1%)減少している。特に減少しているのは,比率で見ると公職選挙法,出入国管理令,麻薬取締法,関税法等の各違反であり,実数及び比率の双方において著しく増加しているのは,覚せい剤取締法と毒物及び劇物取締法の各違反が挙げられ,その他,酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律(以下「酒酔い迷惑防止法」という。),出資の受入,預り金及び金利等の取締等に関する法律(以下「出資の受入等取締法」という。),道路運送車両法,児童福祉法等の各違反の増加率も顕著である。
 道交違反関係を見ると,昭和51年の検察庁新規受理人員は223万67人で,前年に比べて22万6,789人(11.3%)の増加である。
 次に,特別法犯を,保安,財政経済,麻薬・覚せい剤,風俗関係の各法律違反に分けて,最近5年間におけるそれぞれの動向を示すと,I-24表からI-27表までのとおりである。5年間の推移を見ると,保安関係では,銃砲刀剣類所持等取締法及び火薬類取締法の各違反が減少し,軽犯罪法及び酒酔い迷惑防止法の各違反が増加している。
 財政経済関係では,所得税法違反が昭和51年において前年に引き続いてかなりの増加を示し,更に,法人税法,出資の受入等取締法等の各違反も増加を続けている。
 麻薬・覚せい剤関係では,大麻取締法,覚せい剤取締法,毒物及び劇物取締法の各違反の増加が顕著であるが,麻薬取締法違反は,最近の減少傾向をそのまま続けている。なお,覚せい剤取締法違反の実態については,第2章第3節で述べる。

I-23表 特別法犯検察庁新規受理人員(昭和50年,51年)

I-24表 保安関係特別法犯検察庁新規受理人員(昭和47年〜51年)

I-25表 財政経済関係特別法犯検察庁新規受理人員(昭和47年〜51年)

 風俗関係では,児童福祉法及び競馬法の各違反の増加が目立っている。また,近年減少を続けていた売春防止法及び風俗営業等取締法の各違反が,昭和51年にやや増加している。

I-26表 麻薬・覚せい剤等特別法犯検察庁新規受理人員(昭和47年〜51年)

I-27表 風俗関係特別法犯検察庁新規受理人員(昭和47年〜51年)