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 昭和51年版 犯罪白書 第3編/第4章/第3節/3 

3 周旋事犯と助長等事犯の特性

 以下,周旋事犯575人と助長等事犯736人とを対比させながら,それぞれの持つ特性を見ることとする。
 周旋事犯に関係のある売春の態様は,「街娼による売春」が46.1%を占めて最も多い。しかし,「タクシー受け売春」(タクシー運転手が勧誘してきた遊客を売春場所へ送り込んで売春をさせる形態のもの)(12.2%)や「モーテル売春」(7.1%)もあり,その他,芸妓,酌婦,ホステス,旅館女中などに対する周旋も,少なくはない。
 他方,助長等事犯に関連のある売春の形態は,「トルコ売春」が16.0%を占めて最も多く,「芸妓売春」の11.8%,「旅館女中売春」の7.9%,「マッサージ売春」の7.1%等がこれに続いている。
 周旋事犯と助長等事犯の職業を比較すると,周旋事犯では,無職が46.8%を占めているのに対し,助長等事犯では,無職は14.4%にすぎず,飲食店営業者・従業員が32.5%,トルコ風呂営業者・従業員が19.0%となっており,接客サービス業関係者が多い。
 更に,周旋事犯と助長等事犯とでは,「犯行地域」にも差異が認められる。周旋事犯の犯行地域の57.4%は大都市であり,中小都市は38.3%にすぎないのに対して,助長等事犯では,その52.2%が中小都市で,大都市は39.4%である。
 また,助長等事犯は,周旋事犯に比べて,暴力団との関係がやや密接であるように思われる。周旋事犯では暴力団幹部が0.3%,構成員が3.3%であるのに対して,助長等事犯では,暴力団幹部が3.0%,構成員が4.2%となっている。
 また,検挙の端緒を見ても,助長等事犯の場合は,関係売春婦の届け出が53.3%,遊客その他の関係人の届け出が19.3%に達し,この種事犯の悪質性の一端を示している。