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 昭和51年版 犯罪白書 第3編/第3章/第2節/1 

第2節 暴力団関係者の犯罪

1 暴力団関係者の検拳状況

 昭和49年と50年の暴力団関係検挙人員を主要罪名別に示したのが,III-124表であり,また,50年の検挙人員の主要罪名別百分比を図示したのが,III-21図である。50年の検挙人員は,前年より219人減少して,5万3,058人となっている。罪名別に見ると,前年より増加したのは,刑法犯では,殺人,詐欺,器物損壊,窃盗,恐喝,兇器準備集合であり,とりわけ,殺人の増加率が高いことが注目される。特別法犯について前年と対比すると,覚せい剤取締法違反の増加が著しい。

III-124表 主要罪名別暴力団関係検挙人員(昭和49年・50年)

III-21図 主要罪名別暴力団関係検挙人員の百分比(昭和50年)

 また,昭和50年の暴力団関係検挙人員について罪名別の構成比を見ると,最も多いのは傷害(20.6%)であり,以下,暴行(12.6%),賭博(11.8%),恐喝(9.7%),覚せい剤取締法違反(9.3%),競馬法違反(5.4%),銃砲刀剣類所持等取締法違反(5.0%)の順となっている。
 次に,これらの犯罪によって検挙された暴力団関係者がどのような特性を持っているかを検討する。III-22図は,昭和50年の暴力団関係検挙人員について,所属団体の種類別の構成比を示したものである。博徒が総数の36.4%で最も多く,次いで,暴力テキ屋の16.1%,青少年不良団の8.8%などとなっている。

III-22図 暴力団所属団体種類別検挙人員の百分比(昭和50年)

 また,同じ暴力団関係検挙人員について地位別の構成比を示したのが,III-23図である。首領が総数の1.6%,幹部が13.5%,組員が26.7%,準構成員が24.3%などとなっている。

III-23図 暴力団地位別検挙人員の百分比(昭和50年)

 次に,昭和50年の過失犯を除く刑法犯の暴力団関係検挙人員について年齢層別の構成比を示したのが,III-24図である。30歳以上の者が総数の52.1%を占めている。これを一般人を含めた検挙人員全体の年齢層別構成比と比較すると,暴力団関係検挙人員では,30歳以上の者の比率が高いことが注目される(I-6表参照)。

III-24図 年齢層別暴力団関係刑法犯検挙人員の百分比(昭和50年)

 次に,暴力団関係者の過失犯を除く刑法犯検挙人員のうち未成年者が占める比率を見ると,昭和47年以降,4.2%から5.0%までの間を上下しており,著しい変化は見られない。
 また,暴力団関係者の犯罪傾向の進度を探るため,昭和50年における過失犯を除く刑法犯の暴力団関係検挙人員について,前科を有する者の割合を主要罪名別に示したのが,III-25図である。暴力団関係検挙人員中前科を有する者の割合は,72.1%に達している。一般人を含む検挙人員総数で見た場合,その割合は29.6%であるから,暴力団関係者には犯罪傾向の進んだ者が多いことがわかる。暴力団関係者について罪名別に見ると,前科を有する者の割合は,詐欺が84.3%で最も高く,以下,殺人の82.3%,脅迫の80.9%,窃盗の79.2%,傷害の74.2%,暴行の74.1%,恐喝の73.0%の頓となっている。

III-25図 刑法犯の暴力団関係成人検挙人員中に占める前科を有する者の比率(昭和50年)