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昭和50年に,交通関係の業務上(重)過失致死傷により警察に検挙された少年は4万4,592人で,少年刑法犯検挙人員の27.6%を占め,自動車等の運転に関する道路交通法違反による少年の送致人員は22万7,323人で,少年特別法犯送致人員の92.8%に及んでおり,少年についても,交通犯罪の防止はなお重要な刑事政策上の課題となっている。
まず,交通犯罪全体のうち,少年によって犯された事件の占める割合を見ることとする。III-105表は,昭和49年と50年における業務上過失致死傷及び重過失致死傷の検察庁新規受理人員のうち,少年の占める割合を見たものである。50年では,業務上過失致死傷で9.9%,重過失致死傷で30.3%となっている。少年の重過失致死傷の占める割合が大きいのは,無免許運転をして事故を起こす者が多いためである。 III-105表 少年の業務上(重)過失致死傷検察庁新規受理人員(昭和49年・50年) 次に,III-106表は,最近5年間における道路交通法違反取締総件数とその中に占める少年の割合を見たものである。昭和50年では,少年の取締件数は前年より10万6,417件増加して,91万5,694件となっているが,総取締件数に占める割合は,46年以降減少傾向にある。III-106表 道路交通法違反少年事件累年比較(昭和46年〜50年) また,昭和50年における少年及び成人の道路交通法違反を態様別に見たのが,III-15図である。少年の場合には,成人の場合よりも無免許運転の占める割合が大きくなっていることが注目される。速度違反は,成人,少年とも1位を占めており,各総数中に占める割合は成人の方が大きいが,毎時25キロメートル以上の速度違反が速度違反全体に占める割合について見ると,少年では26.9%(成人では13.4%)で,成人の速度違反に比べると危険性の高いものが多いと言えよう。III-15図 少年及び成人の道路交通法違反態様別取締件数の百分比(昭和50年) 次に,交通犯罪を犯した少年が家庭裁判所においてどのような終局決定を受けているかを,最近5年間の業務上(重)過失致死傷と道交違反について見ると,III-107表及びIII-108表のとおりである。業務上(重)過失致死傷では,昭和45年以降,刑事処分相当を理由とする検察官への送致率が低下する反面,保護観察,不処分又は審判不開始の割合が増加している。一方,道交違反について見ると,45年8月から交通反則通告制度が少年に対しても適用され,軽微な事犯が家庭裁判所に送致されなくなったことに伴い,46年には,処理総数が大幅に減少するとともに,不処分及び審判不開始の割合が低下し,検察官送致の割合が上昇した。しかし,47年以降では,検察官送致の割合がわずかながら低下する傾向にあり,不処分及び審判不開始の割合が上昇傾向を示している。III-107表 業務上(重)過失致死傷の家庭裁判所終局決定人員と構成比(昭和45年〜49年) III-108表 道交違反の家庭裁判所終局決定人員と構成比(昭和45年〜49年) |