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 昭和51年版 犯罪白書 第3編/第1章/第7節/1 

第7節 少年の更生保護

1 少年の仮釈放

 仮釈放の一般的概況については,第2編第4章第2節で取り上げたので,ここでは,少年院からの仮退院と不定期刑受刑者の仮出獄に焦点を当てて述べることとする。

(1) 少年院からの仮退院

 少年院からの仮退院は,在院者が処遇の最高段階に達し,保護観察に付することが本人の改善更生のために相当であると認められたときはもとより,処遇の最高段階に達していなくても,本人の努力で成績が向上し,保護観察に付することが本人の改善更生に特に必要と認められるとき,少年院長の申請により,地方更生保護委員会の決定で許可される。
 昭和50年中に,全国の地方更生保護委員会が受理した少年除からの仮退院申請人員は1,677人で,前年より176人(9.5%)減少している。仮退院申請受理人員の減少は,主として,少年院在院者の減少によるものと思われる。
 少年院長からの仮退院の申請に対する地方更生保護委員会の棄却状況を見ると,棄却人員はわずか5人(0.3%)にすぎない。
 最近5年間における仮退院・退院別人員は,III-73表のとおりである。この退院の中には,少年院内で矯正の目的が達せられたことを理由として少年院長の申請に基づき地方更生保護委員会が決定する退院と,本人が20歳に達したとき又は収容期限に達したとき少年院長が行う退院とが含まれるが,前者による退院はその数が極めて少ない。昭和50年においては,少年院長からの2人の退転申請に対して,1人が許可された。他方,仮退転者の出院者総数中に占める割合は,逐年上昇して50年には77.2%に達したが,仮退院者の実人員は減少の一途をたどっている。

III-73表 少年院からの仮退院・退院別人員(昭和46年〜50年)

(2) 不定期刑受刑者の仮出獄

 少年の犯罪で,3年以上の有期の懲役又は禁錮の刑をもって処断すべきときは,その刑の範囲内において,短期は5年,長期は10年を超えない限度で不定期刑を言い渡すこととなっている。この不定期刑受刑者について,最近5年間における仮出獄の許否状況を見ると,III-74表のとおりである。不定期刑仮出獄許可人員は,逐年減少して,昭和50年には226人となった。同年中,不定期刊受刑者で仮出獄中請のあった者に対する棄却率は,わずか3.0%である。

III-74表 不定期刑仮出獄決定状況(昭和46年〜50年)

 不定期刑受刑者の仮出獄については,言い渡された刑の短期の三分の一を経過することがその要件の一つとなっている。短期経過前に仮出獄が許可された者の不定期刑仮出獄許可総数中に占める割合は,III-75表に見るとおり,48年以降上昇の傾向にあり,50年には19.0%を占めている。しかし,実人員には起伏があり,別年は43人である。

III-75表 不定期刑仮出獄の短期経過前・後の許可人員(昭和46年〜50年)

 次に,不定期刑仮出獄者の昭和50年における刑の執行率(長期に対する執行済み期間の割合)は,III-76表のとおりである。短期刑ほど執行率が高い傾向にあるが,全体として,執行率80%以上の者が29.6%(昨年は42.9%),70%以上の者が67.7%(同77.4%)を占めており,前年に比べて執行率が著しく低下している。

III-76表 不定期刑仮出獄者の刑の執行率別人員(昭和50年)