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1 未決拘禁者の処遇 (1) 収容状況 II-56表は,昭和30年以降の未決拘禁者(勾留中の被疑者及び被告人をいう。)の入出所状況の推移を見たものである。被告人及び被疑者の新入所人員は,いずれも減少傾向にあったが,50年には,被告人において前年より5,654人増加し,被疑者において1,823人増加している。
II-56表 未決拘禁者の入出所人員(昭和30年,35年,40年,45年,50年) (2) 処遇の概要 未決拘禁者は,拘置所若しくは拘置支所又は刑務所の特別の区画(「拘置場」という。)に収容され,受刑者とは異なる処遇を受ける。その処遇は,施設管理上の所内秩序維持のためのもののほか,逃亡及び証拠隠滅の防止対策が基本的なものとなるが,その概要は,次のとおりである。
ア 居房 原則として,独居房に収容される。雑居房に収容される場合でも,同一事件に関係のある者は居房を別にし,居房外においても接触の機会がないように配慮されている。
イ 作業 作業は強制されないが,請願作業が許される。作業に従事している未決拘禁者の数は,昭和50年末現在130人で,未決拘禁者全員の1.6%となっている。就業者には作業賞与金が支給され,また,在所中の使用が許されている。
ウ 給養 衣類及び寝具は,受刑者と異なり,自弁が原則となっており,食糧や日用品についても,規律及び衛生に害のない限り,大幅に自弁が許されている。
エ 面会及び通信 面会については,管理上やむを得ない場合を除いて,その相手方及び回数についての制限はない。特に弁護人との面会については,立会人が付かず,被疑者・被告人としての防御権が保障されている。信書の発受も,管理上やむを得ない場合のほか,その相手方,回数などについて制限を受けることはないが,その内容については,検閲が行われる。
オ 図書等の閲読及び教誨 図書,雑誌,新聞は,未決拘禁の目的に反せず,かつ,施設の規律に害のない限り,その閲読が許されている。教誨は,本人から願い出た場合に行っている。
カ 懲罰 施設の秩序を乱した者には,法定の懲罰が科せられる。
懲罰事犯を見ると,抗命,通声・談話などが多い。たばこは禁止ざれているので,たばこの所持も規律違反であるが,昭和50年では,1.8%と10年前のほぼ十分の一に激減している。なお,在所中の犯罪行為によって起訴された者は,50年では18人であり,行為別に見ると,最も多いのは傷害である。 |