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 昭和51年版 犯罪白書 第2編/第3章/第3節/8 

8 保安

 刑務所及び拘置所の機能を十分に発揮できるようにするため,施設の安全と秩序を維持する作用を「保安」という。
 近年,行刑施設の収容人員は減少の傾向にあるが,反面,処遇困難者の占める比率は,むしろ増大する傾向にある。特に,暴力団関係者は,近年著しく増加して,昭和50年末現在で全受刑者の約21%を占めている。
 かような状況下で,昭和50年では,延べ2万7,095人の受刑者が規律に違反して法定の懲罰を受けている。事犯別に見ると,同衆暴行(14.2%),抗命(12.9%),物品不正所持・授受等(12.5%)が高い割合を占めているが,争論(8.5%)及び自傷(4.5%)も逐年増加しているのが目につく。在所中の犯罪行為によって起訴された者では,傷害が最も多くなっている。
 次に,昭和30年以降の事故件数を5年間隔で示したのが,II-55表である。戦後の異常な過剰拘禁状態の下で発生した集団逃走,職員殺傷等は,減少しているが,なお,跡を絶つには至っていない。

II-55表 行刑施設事故発生状況(昭和30年,35年,40年,45年,50年)