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 昭和51年版 犯罪白書 第2編/第3章/第3節/7 

7 医療及び衛生

 収容者が負傷したり病気にかかったりしたときは,原則として施設の医師が診療に当たる。行刑施設には,その規模や業務内容に応じて医務部又は医務課等の組織が設けられているが,このほか,全国に五つの医療専門施設(八王子医療刑務所,岡崎医療刑務所,城野医療刑務所,大阪医療刑務支所,菊池医療刑務支所)が設置されている。更に,おおむね各矯正管区を単位として全国で5施設(名古屋,広島,福岡,宮城,札幌の各刑務所)が医療重点施設に指定され,人的・物的に医療態勢を一段と整備・充実させ,専門的医療を要する者,長期の療養を要する者等を集めてセンターとしての医療活動を行っている。なお,必要な場合には,外部の専門医の診療を受けさせ,また,施設内で適当な治療を施すことができない病者は,情状により,一時外部の病院に移送して医療の万全を期している。
 行刑施設における医務技官の定員内訳は,II-54表のとおりであるが,そのほか,医務部課長の管理業務を助けるために,看守長又は副看守長が配置されており,医務部課のサービス部門を監督するとともに,ときに保健医療生活指導担当者としての役割を担い,病気の収容者に対し面接指導を行うなど,医療処遇の側面的援助を行っている。

II-54表 行刑施設における医務技官定員内訳(昭和51年4月1日現在)

 なお,矯正施設における医療専門職員の充足を図るため,医師については,昭和36年から矯正医官修学生の制度が設けられ,また,看護士(婦)については,41年から八王子医療刑務所に准看護人養成所が設けられている。51年3月末現在,開設以来同所を卒業した准看護士(婦)の総数は167人である。