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 昭和51年版 犯罪白書 第1編/第4章/第1節/2 

2 最近のわいせつ事犯の特色

 最近のわいせつ事犯の特色としては,そのわいせつ性が一段と著しくなっていることを挙げることができる。我が国においても,一部の外国におけるわいせつ文書等に対する法規制の緩和などに触発されて,性を露骨に表現した雑誌,映画等がはんらんし,また,外国製わいせつフィルム,写真集等の密輸入・密売事犯も増加しており,わいせつ性の著しいわいせつ文書頒布等が多くなっている。更に,興行界の過当競争のため,わいせつショーにおいても,性の露出化がエスカレートしてきており,公然わいせつにおけるわいせつ性もその度を増している。
 特に注意を要するのは,わいせつ事犯における暴力団の組織的犯行である。わいせつフィルムの製造,密売等は,暴力団の有力な資金源となっており,昭和50年においても,暴力団員による大掛りなわいせつフィルムの密売事件の摘発を見ている。わいせつ文書頒布等の検挙人員のうちで,暴力団関係者の占める比率を見ると,50年では,検挙人員総数1,259人中451人(35.8%)を占めている。
 また,最近では,わいせつ事犯の国際化現象も現れてきている。前述のような外国製ポルノの密輸入・密売事犯のほか,ハワイのポルノショップ経営者が我が国で大掛りなポルノショップ・チェーンを開業しようとした事犯等にもその例を見ることができる。