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 昭和51年版 犯罪白書 第1編/第3章 

第3章 財産犯の動向

 刑法犯を代表する第二の犯罪類型として,窃盗,詐欺,横領,背任等のように,人の財産に対する侵害を内容とするものがあり,これらを一般に「財産犯」と呼んでいる。この種の犯罪の動向は,経済成長,景気の好・不況,失業者の多寡といった経済状態によって直接影響を受けやすいと考えられる。
 我が国における財産犯の動向を見ると,一般的には犯罪発生件数が減少する傾向にあるが,昭和49年以降はこの種犯罪が増加している。我が国の経済情勢は,48年末のいわゆる石油ショックを契機として,以後低迷を続けているので,最近における財産犯の増加は,経済の不況と何らかの関連があるのではないかという疑いもある。
 そこで,本章では,最近までの我が国における財産犯の推移を統計的に概観するとともに,最近における増加現象の実態を明らかにすることとする。