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 昭和51年版 犯罪白書 第1編/第2章/第1節/2 

2 最近の動向

(1) 罪種別分析

 最近における生命・身体犯の発生件数の推移を罪種別に検討する。
 一般に,生命・身体犯という概念は,過失犯をも含む意味で用いられるが,ここでは,故意の犯罪行為により被害者が死亡し又は傷害を負った事犯に限ることとし,強盗致死傷,強姦致死傷等のいわゆる結果的加重犯を含むものとする。
 このように規定された生命・身体犯について,検察庁における最近の事件受理人員の推移を示したのが,I-58表である。昭和50年における受理状況を10年前の40年と対比して見ると,総数では約37%の減少となっている。また,罪種別では,殺人と傷害致死がほぼ横ばいの状態にあり,その他はおおむね減少傾向にあると言える。減少率の最も大きいのは強姦致死傷で,傷害,強盗致死傷がこれに次いでいる。

I-58表 生命・身体犯検察庁新規受理人員の推移(昭和40年,46年〜50年)

(2) 地域別分析

 生命・身体犯を代表する殺人及び傷害の罪について,地域別に犯罪発生状況を分析してみよう。I-12図は,昭和50年における殺人及び傷害の発生率(人口10万人当たりの犯罪発生件数)を都道府県別に図示したものである。まず,殺人について見ると,発生率の高い県は,高知(5.6),沖縄(3.8),和歌山(3.2),福岡(3.0),徳島,長崎,鳥取(2.6),大阪,兵庫(2.5)などとなっており,地方別では,四国,九州及び近畿地方において発生率が高く,東北及び中部地方において低くなっている。次に,傷害について見ると,発生率の高い県は,沖縄(49.4),長崎(49.3),福岡(48.1),東京(47.5),北海道(43.0),大分(41.3)などであり,地方別では,北海道及び九州地方において発生率が高く,中部地方において低くなっている。

I-12図 都道府県別殺人・傷害発生率(昭和50年)