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1 概説 昭和50年の我が国における交通関係業過を除く刑法犯の検挙人員総数36万4,117人の男女別内訳は,男性が30万2,685人,女性が6万1,432人である。男性の検挙人員は,前年に比べて2,363人の減少であるのに対して,女性の検挙人員は,前年に比べて3,171人の増加であり,女性の検挙人員の増加が目立っている。
このように,女性の検挙人員が増加しているのは,ここ数年間に見られる顕著な傾向である。女性の検挙人員の増加によって,女性の有責人口1,000人に対する検挙人員の比率(女性人口比)は上昇し,検挙人員総数中に占める女性の比率(女性比)も年々上昇している。その状況は,I-26表の示すとおりで,昭和21年には7.6%であった女性比が,40年には11.3%,50年には16.9%となっている。 I-26表 男女別刑法犯検挙人員の推移(昭和21年,25年,30年,35年,40年,45年〜50年) 昭和50年の刑法犯検挙人員の年齢層別構成比は,前出のI-5表に見るとおりで,20歳未満の年齢層は,男性では32.4%,女性では31.0%,20歳以上40歳未満の年齢層は,男性では49.7%,女性では41.4%,40歳以上の年齢層は,男性では17.9%,女性では27.6%となっている。すなわち,女性では,40歳以上の年齢層の構成比が男性に比べて高い。最近2年間の刑法犯検挙人員を年齢層別・男女別に示すと,I-27表のとおりである。前年との増減率では,女性は,18歳から24歳までの年齢層を除いて,すべての年齢層において上昇している。特に,14歳・15歳,16歳・17歳及び60歳以上の年齢層において11%を超える高い増加率を示している。これに対して,男性は,30歳未満の年齢層では,16歳・17歳の年齢層を除いて,いずれも減少している。しかし,30歳以上の各年齢層において増加し,特に,50歳から59歳までの年齢層において高い増加率が見られる。 I-27表 刑法犯年齢層別・男女別検挙人員(昭和49年・50年) 最近5年間における刑法犯主要罪名別の女性検挙人員の推移を示すと,I-28表のとおりである。まず,窃盗は,この5年間,一貫して増加している。昭和46年を100とする指数で示すと,50年は135に上っている。恐喝も,また,同様に増加している罪種である。すなわち,46年を100とすると,50年は140となっている。なお,実数は少ないが,女性が強姦の共犯として検挙される数も増加している。これに対して,減少傾向にあるのは,殺人,放火等である。その他の犯罪の動向は,起伏のある動きを示している。I-28表 刑法犯主要罪名別女性検挙人員(昭和46年〜50年) |