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2 爆発物事犯 最近における爆発物事犯の発生状況等については,既に概観したところ(第1編第1章第2節)であるので,ここでは,昭和49年中に発生した過激派集団による事犯を中心に解説する。
昭和49年8月に発生した三菱重工本社ビルを中心とする東京丸の内ビル街爆破事件以降,主として海外に進出している大企業を対象とした爆発物事犯が連続して発生し,多数の死傷者を出すなど,国民に深刻な不安と動揺を与えた。これら一連の事件は,従来のこの種事犯と比較すると,政治・社会の諸情勢や大衆闘争の高揚とは関係なく発生していること,爆発物が大型化・高性能化していること,民間の代表的企業が攻撃目標となっていることなどの点に特徴が見られる。 これら一連の企業爆破事件については,犯行後「東アジア反日武装戦線狼」などの名義の声明文が新聞社へ送られてきたことなどから,過激分子の組織による犯行ではないかと見られていたが,昭和50年5月になって,犯人8名が検挙され,これら一連の事件は,「東アジア反日武装戦線狼」,「同大地の牙」,「同さそり」等のグループが単独あるいは共同で行ったものであることが解明され,同年6月以降,犯人が爆発物取締罰則違反等により,順次起訴された(東京地検)。これらのグループによる企業を対象とした爆発物事件は,III-118表のとおりである。 III-118表 企業関係爆発物事件(昭和49年・50年) |