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 昭和50年版 犯罪白書 第3編/第2章 

第2章 暴力的集団犯罪

 犯罪は社会秩序を乱すものであるが,特に,暴力的な犯罪が集団を背景として組織的に行われる場合には,国民生活に対する大きな脅威であり,法秩序に対する国民の不信を招くばかりでなく,民主主義の基盤をも揺るがしかねないものである。最近の犯罪動向を見ても,一般に犯罪が減少する傾向の中にあって,暴力団関係の検挙人員は増加傾向を続けており,少年非行の面でも,暴走族などの新しい形態の不良青少年グループが出現し始めている。一方,過激派集団による暴力活動も一時に比べて下火になったとはいえ,最近では内ゲバの形で,より組織的,計画的で残忍な殺傷事件が続発している。
 これらの暴力的集団は,その存立基盤及び構成員の質において異なるが,組織集団を背景として常習的に暴力犯罪を行い,社会的にも大きな影響を与えている点において,共通するところが多いので,本章では,暴力的集団犯罪として,暴力団犯罪.不良青少年グループ犯罪及び過激派集団の犯罪を取り上げ,最近の動向について概説する。