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1 公務員犯罪の受理と処理 公務員による犯罪には,例えば収賄のように,公務員の職務に関して行われるものと,その職務に関係なく行われるものとがあるが,ここでは,その両者を含めて,公務員により行われたすべての犯罪について解説する。I-67表は,昭和45年以降,検察庁で新たに受理された公務員(公団や公社の職員のようないわゆる「みなす公務員」を除く。)による犯罪を主要罪名別に集計したものである。公務員犯罪全体の受理人員は,48年までは増加を続けてきたが,49年には前年より1,023人減少して1万8,889人となっている。受理人員が最も多いのは業務上(重)過失致死傷で,同罪の受理人員が公務員犯罪全体の受理人員中に占める割合は,49年では73.8%である。前年と比較して受理人員が増加しているのは,特別法犯と刑法犯のうち職権濫用(120人,14.4%増),窃盗(43人,11.4%増)である。連続して増加してきた業務上(重)過失致死傷は,49年には前年より825人(5.6%)の減少を示している。また,48年に大幅な増加(115人増加,15.4%増)を見せた収賄は,49年には35.8%減少し,554人となっている。
I-67表 公務員犯罪主要罪名別検察庁新規受理人員(昭和45年〜49年) 次に,検察庁における公務員犯罪の処理状況を最近3年間について見ると,I-68表のとおりである。罪名別に起訴人員を見ると,昭和49年では,業務上(重)過失致死傷の8,212人が最も多く,収賄の311人がこれに次いでいる。起訴率では,業務上(重)過失致死傷の60.4%が最も高く,以下,収賄の55,3%,横領の25.5%などの順となっている。しかし,起訴区分別に見ると,業務上(重)過失致死傷では,その99.1%が略式命令を請求したものであるから,実質的に最も厳しい処理がなされているのは,収賄といってよいであろう。職権濫用の起訴率は,例年極めて低いが,この種事件の大部分が,警察,検察庁,裁判所,矯正施設などの職員に対する告訴・告発事件であり,もともと犯罪にならないもの,犯罪の嫌疑がないか,あるいは不十分なもの,告訴・告発時に既に公訴時効が完成しているものなどが多いためである。I-68表 公務員犯罪主要罪名別起訴・不起訴人員と起訴率(昭和47年〜49年) |