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4 家庭・家族の変化との関連 次に,社会構造の変化を示す他の指標の一つとして家庭・家族の変動を取り上げ,昭和30年以降の国勢調査から家族構成の推移を見たのが,I-12表である。
I-12表 世帯人員別普通世帯数の構成比の推移(昭和30年,35年,40年,45年) 同表及び人口問題審議会の資料によると,戦前から昭和20年代にかけて約5人の家族構成で推移してきた世帯規模は,30年の平均家族成員数4.97人,35年4.54人,40年4.05人,45年3.69人と急速に縮小して,50年には3.43人になるものと推計されている。世帯規模の縮小に伴い,普通世帯(住居と生計をともにする人の集まり)中に占める家族成員4人以下の小規模家族の割合が激増して,45年では約71%に達している。とりわけ,夫婦のみ又は夫婦とその子供のみから構成されるいわゆる核家族の増加は著しく,45年の国勢調査では1,705万世帯となり,全普通世帯中に占める割合も63.5%となっている。核家族化の進行それ自体は,家族制度の変化に伴う必然的な傾向であろうが,その進行が急激な場合,家庭の持っている非行抑止機能を低下させるおそれがある。30年代以降の核家族化の急激な進行は,その期間における少年犯罪の動向と無縁ではないように思われる。家庭・家族の変動を示す他の要素として,保護者の状況及び家庭の生活程度の変化が考えられる。後掲III-18表及びIII-19表に示すとおり,昭和30年以降,両親又はその一方を欠くいわゆる欠損家庭は著しく減少し,家庭の生活程度も向上していわゆる貧困家庭も減少したが,少年犯罪はほぼ一貫して増加傾向を示し,両者の関連は著しく希薄なものとなっている。このように,家庭の外的条件が好転しているにもかかわらず,少年犯罪はかえって増加しているのである。このことは,少年犯罪は,家庭の外的条件よりも,むしろ内的な家庭の機能障害との関連においてとらえられなければならないことを示唆するものであろう。 |