前の項目 次の項目 目次 図表目次 年版選択 | |
|
2 特別法犯の推移 昭和21年から49年までの特別法犯の推移について,道路交通法違反及び自動車の保管場所の確保等に関する法律違反(以下,「道交違反」という。)並びに道交違反を除く特別法犯(以下,「その他の特別法犯」という。)の別に示したのが,I-7図である。道交違反及びその他の特別法犯については,発生件数を示す資料がないので,捜査機関で受理された被疑者の総数ともいえる検察庁の新規受理人員(検察庁間の移送,家庭裁判所からの送致及び再起の人員を含まない。)によって,その推移を見ることとする。
I-7図 特別法犯検察庁新規受理人員の推移(昭和21年〜49年) 道交違反の受理人員は,昭和21年の約3,000人から漸増していったが,特に,28年以降は自動車交通の進展に伴って急激に増加し,40年には約497万人に達した。激増する道交違反に対処するため,その処理手続の特例として,43年7月1日から交通反則通告制度が施行され,一定の道交違反について反則金の納付があったときは検察庁に送致されないこととなった。そのため,道交違反の受理人員は,43年以降激減し,6年には約146万人となったが,46年から再び増加に転じ,49年には前年より更に増加して186万8,250人となっている。その他の特別法犯については,終戦直後の混乱期に,食糧の安定供給,インフレの抑制などを図るために経済統制が実施され,食糧管理法違反,物価統制令違反等の経済事犯が多発したため,受理人員も昭和24年には約86万人を数えたが,経済統制の撤廃による経済事犯の漸減に伴い,受理人員も減少し,31年には約18万人に低下した。その後,受理人員は増減を繰り返しているが,49年には前年より若干減少して13万9,291人となっている。 なお,参考までに,刑法犯,道交違反及びその他の特別法犯を合わせた犯罪全体の一般的傾向を見るために,これら3種類の法令違反別に,昭和21年から49年までの検察庁新規受理人員の推移を示したのが,I-5表である。49年の新規受理人員総数は,前年より8万512人減少して286万2,574人となっているが,そのうち,刑法犯は29.9%,道交違反は65.3%,その他の特別法犯は4.9%を占めている。 I-5表 検察庁被疑者新規受理人員の推移(昭和21年〜49年) |