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2 交通事故事件の最近の傾向 最近3年間について,交通関係の業務上(重)過失致死傷事件の検察庁への送致件数及び送致人員を,罪名別にみると,III-127表のとおりである。昭和48年では,交通関係の業務上(重)過失致死傷事件で警察から検察庁へ送致された事件の総数は,53万8,192件,57万3,591人であり,件数,人員ともに前年より減少している。罪名別にみると,業務上過失致死及び同傷害は,件数人員ともに減少しているが,重過失傷害は若干増加している。また,重過失致死は前年とほとんど変わっていない。
III-127表 交通関係業務上(重)過失致死傷送致件数及び人員の推移(昭和46年〜48年) 次に,交通事故に関する統計によって,交通事故事件の最近の傾向を概観してみることとする。まず,昭和48年の交通事故による死傷者数を,地方別に前年と対比してみると,III-128表のとおりである。これによると,48年は,各地方とも,死亡者数及び負傷者数が,前年より減少しているが,全国平均の減少率より減少の程度の大きい地方は,死亡者では,中国地方(減少率11.8%),関東地方(同9.4%),東北地方(同8.8%),北海道(同8.5%)の各地方であり,負傷者では,東北地方(同14.6%),近畿地方(同13.5%),中部地方(同13.3%),中国地方(同12.3%)の各地方である。なお,都道府県別にみると,前年に比べて増加しているのは,死者数では,熊本(21人増加),沖縄(18人増加),秋田(11人増加),岩手(8人増加)の4県であり,負傷者数では,宮崎(323人増加)の1県である。 III-128表 地方別死傷者数(昭和47年・48年) 次に,交通事故による死亡者数と負傷者数について,全国総数に占める7大都府県(東京都,神奈川県,愛知県,京都府,大阪府,兵庫県及び福岡県)の比率をみると,III-129表のとおりである。近年,全国総数に占める7大都府県の割合は逐年下降を続けており,交通事故の地方化ないし全国化ともいうべき傾向を示してきているが,昭和48年では,7大都府県の比率は,死亡者で25.6%,負傷者で37.4%であり,わずかながら前年よりさらに低率となっている。III-129表 全国及び7大都府県の死傷者数(昭和44年〜48年) これら7大都府県のいずれにおいても,死亡者,負傷者ともに前年より,減少しているが,前年に比し減少率の大きいのは,死亡者では,兵庫の18.7%減,負傷者では,愛知の17.4%減,大阪の16.1%減などとなっている。次に,昭和48年における,1日当たりの死亡者数と負傷者数を,月別にみたのが,III-130表である。これによると,1日当たりの死亡者数及び負傷者数では,8月が43.0人及び2,480.1人と最も多いことは,例年どおりであるが,例年比較的交通事故が多発する12月における死傷者が他の月より少ないことが特徴的である。また,交通事故発生の月別の変動は,前年より小さくなっている。 III-130表 月別死傷者数(昭和48年) 次に,III-131表は,人身事故事件について,事故の主たる原因となった自動車の種別ごとに,それぞれ事故発生件数をみたものである。これによると,昭和48年は,自家用自動車の事故が総数の79.2%,事業用自動車の事故が10.9%,二輪車の事故が10.0%となっているが,最も多いのは,自家用乗用普通自動車による事故で,総数の40.7%を占め,自家用貨物普通自動車による事故の24.4%が,これに次いでいる。前年と比較してみると,自家用バスによる事故がわずかに増加しているほかは,いずれも減少している。減少の程度の大きいものをみると,実数では,自家用貨物普通(特定大型・大型を含む。)自動車による事故の2万838件減,自家用乗用軽四輪自動車による事故の8,182件減,自家用貨物軽四輪自動車による事故の7,389件減,自家用乗用普通自動車による事故の7,384件減などである。III-131表 事故の主たる原因となった車種別人身事故件数(昭和47年・48年) 次のIII-132表は,自動車による人身事故を,事故の類型別に分類して,最近5年間の状況をみたものである。これによると,昭和48年の実数は,いずれの事故類型についても,前年より減少している。総数に対する構成比をみると,48年は,車両相互の事故が69.1%,人対車両の事故が23.6%,車両単独の事故が7.1%,その他が0.2%となっている。III-132表 事故類型別発生状況(昭和44年〜48年) また,昭和48年の車両相互間の事故について,事故態様別百分比をみたのが,III-133表である。これによると,最も多いのが追突事故で,全体の32.4%を占めており,次いで,出合い頭の衝突事故の23.0%,右折時の側面衝突事故の14.7%の順となっている。なお,人対車両の事故では,横断歩行中の事故が最も多く,次いで,路上への飛び出しによる事故となっている。III-133表 交通事故態様別発生件数及び構成比(昭和48年) |