前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 昭和49年版 犯罪白書 第3編/第1章/第5節/1 

1 収容状況

 昭和48年に少年院に新たに収容された少年の数は,III-76表のとおりである。少年院新収容者は,初等・中等・特別・医療の各少年院とも減少し,総数2,276人(男子2,063人,女子213人)で前年より664人の減となっており,42年以来の減少傾向が引き続いていることを示している。

III-76表 新収容者の少年院種類別人員(昭和46年〜48年)

 昭和48年末現在の在院者数は,III-77表のとおりで,やはり各種少年院とも減少し,総数において前年末より733人の減となっている。最近の動向として,各種別少年院在院者の総数に対する構成比の上では,初等少年院の占める割合が漸増し,特別少年院の占める割合が漸減する傾向がみられる。

III-77表 年末在院者の少年院種類別人員(昭和46年〜48年の各12月31日現在)

 昭和48年の新収容者を年齢別構成比からみると,III-78表のとおりであり,18歳以上が半数以上を占めることは従来と変わらない。

III-78表 新収容者の年齢別構成比(昭和46年〜48年)

 新収容者の行為別人員をみると,III-79表80表81表のとおりである。窃盗が新収容者の半数(50.2%)を占め,次いで,強姦・わいせつ(11.3%),虞犯(8.8%),恐喝(7.2%)の順となっている。これを男女別にみると,女子新収容者の行為の8割以上が虞犯と窃盗であることには変わりないが,窃盗の構成比が低下し,傷害,暴行,恐喝などの粗暴犯の構成比が上昇していることが注目される。

III-79表 新収容者の行為別構成比(昭和46年〜48年)

III-80表 新収容者(男子)の行為別構成比(昭和46年〜48年)

III-81表 新収容者(女子)の行為別構成比(昭和46年〜48年)

 最近3年間の新収容者について,家庭裁判所の保護処分歴のある者と保護処分歴のある者のうち,特に少年院再入院者の人員並びに新収容者中に占めるこれら二者の割合を示したのが,III-82表である。

III-82表 新収容者の保護処分歴(昭和46年〜48年)

 昭和48年では,新収容者の79.2%.1,802人が保護処分歴のある者であり,16.0%,364人が少年院に再入した者である。これを年齢層別にみると,年齢層が高くなるに従ってこれらの割合が高くなっている。保護処分歴のある者の割合は,全体としては近年おおむね横ばいの状況にあり,少年院再入者の割合は幾分下降傾向にある。
 次に,新収容者のうち,初めて少年院に収容された者について,家庭裁判所における処分歴のある者の人員及び構成比をみると,III-83表のとおりである。昭和48年では,初めて少年院に収容された少年の75.2%,1,438人が何らかの処分歴のある者である。処分の内容は保護観察(49.5%)と不処分・審判不開始(47.6%)の両者で大半を占めている。これに教護院・養護施設送致を加えたそれぞれの構成比は最近漸増の傾向にある。

III-83表 初入院者の保護処分歴(昭和46年〜48年)

 新収容者の教育歴をみると,III-84表のとおりである。中学在学中の者の構成比の上昇(9.5%)は,新収容者の低年齢化と対応するものと考えられよう。

III-84表 新収容者の教育歴別人員(昭和46年〜48年)

 新収容者の非行時の職業は,III-85表のとおりで,無職が約半数おり,有職者では,技能生産関係18%,サービス関係7.9%,単純労働6.2%が主なものであり,学生・生徒が12%となっている。最近3年間の推移では特に目立つ変化は認められないが,若干ながら無職者の減少と学生・生徒の増加の傾向がみられる。

III-85表 新収容者の非行時の職業別人員(昭和46年〜48年)

 新収容者の知能指数分布をみると,III-86表に示すとおりで,例年のとおり分布は低い方に偏り,特に,女子において著しい。

III-86表 新収容者の性別知能指数(昭和48年)

 また,精神診断状況は,III-87表に示すとおりである。精神薄弱が7%強,精神病質が約2%,その他の精神障害が約3%であり,正常はほとんどまれで,大部分(87.1%)が準正常と診断されている。これは,収容者の大部分が,性格的に何らかの偏りを持ってはいるもののなお決定的に固定化するには至っておらず教育・改善の可能性があるものであることを示している。

III-87表 新収容者の性別精神診断状況(昭和48年)

 昭和48年における少年院出院者総数は,2,961人(男子2,714人,女子247人)で,そのうち,退院は771人,仮退院は2,190人である。その平均在院日数は,退院者が394日,仮退院者が449日となっている。III-88表は,少年院の種類別に退院者・仮退院者の人員及びそれぞれにおける平均在院日数を最近3年間について示したものである。

III-88表 少年院種類別の出院者人員と平均在院日数(昭和46年〜48年)