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 昭和49年版 犯罪白書 第2編/第4章/第3節/4 

4 更生保護会

 更生保護会とは,更生緊急保護法により,法務大臣の認可を受けて更生保護事業を営む民間団体のことである。更生保護事業には更生保護を行う事業とその指導,連絡又は助成を行う事業とがある。前者の事業を営む更生保護会は,保護観察対象者及び刑務所からの満期釈放者,起訴猶予者等で,適当な住居がないため更生に妨げがあると認められた者を保護観察所長の委託を受けて,あるいは自発的に保護施設に宿泊させ,食事の給与,教養,訓練,医療,保養又は就職援助,金品給貸与,環境の改善調整等直接的な保護措置を行って,その社会復帰を援助している団体を指していう。
 昭和49年5月1日現在,このような直接的な更生保護事業を営んでいる更生保護会は,全国で110施設ある。その種別と収容定員はII-118表のとおりである。保護施設の規模は,定員10人程度から90人ぐらいまでで,収容定員の総数は3,194人である。

II-118表 更生保護会の種類別保護施設数と収容定員(昭和49年5月1日現在)

 ところで,法務省保護局の調査によれば,昭和49年3月末日現在,全国の更生保護会における被保護者の総数は1,355人で,その内訳は,委託による保護では,更生(緊急)保護が492人(36.3%),救(援)護が516人(38.1%),家庭裁判所委託等が39人(2.9%)であり),残りの308人(22.7%)は,委託によらないで保護しているいわゆる任意保護の対象者であった。なお,上記の被保護者総数が収容定員総数に占める比率(収容率)は約42%であった。
 国は,更生保護会に対し,被保護者の補導,宿泊,食事給与等の直接保護に要する費月と事務費に充てるための委託費を支給するほか,施設設備の基準維持のため,その補修に要する経費を補助している。しかし,近年被保護者が減少しているために経営が容易でない更生保護会が相当数あり,全国的に更生保護会の統合が行われている。
 ところで,II-119表にみるとおり,昭和48に刑務所を出所した受刑者2万8,196人のうちその19.8%に当たる5,581人が更生保護会を帰住先にしており,その比率は,受刑前歴が増すにしたがって増大し,入所度数5回以上になるとその4割以上の者が更生保護会を帰住先にしている。この状況は例年のことであり,累犯者,家庭環境に恵まれない者,心身に欠陥のある者等特に処遇に困難を伴う者の社会復帰を図るために更生保護会が果たす役割は極めて大きいものがある。これらの施設の経営基盤の確立と処遇の充実とが望まれるゆえんである。

II-119表 出所受刑者の入所度数別更生保護会帰住人員(昭和48年)

 次に,連絡助成事業を営む更生保護会についてであるが,この種の保護会は,保護施設を持たずに専ら更生保護事業の指導,連絡又は助成を行っており,通常,それらの団体には,更生保護協会とか保護観察協会といった名称が付けられている。連絡助成事業を営む更生保護会は,昭和49年5月1日現在,全国で58団体あり,地方公共団体,関係機関等の協力の下に地域における更生保護事業の推進に寄与している。