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 昭和49年版 犯罪白書 第2編/第2章/第2節/5 

5 公判の審理期間

 昭和43年から47年までの5年間について,起訴から通常第一審終局までの審理期間を,年次ごとに百分率にして,地方裁判所と簡易裁判所とに分けてみると,II-33表[1][2]のとおりである。これによると,地方裁判所の通常第一審事件の終局総人員のうち6か月以内に終局した者の比率は,43年から46年まで逐年減少してきたが,47年には前年よりやや増加し,終局総人員5万9,979人の74.6%となっている。1年を超えた者は,43年の7.8%からおおむね増加の傾向をたどり,47年には総数の9.9%で,最近5年間では最も高い比率となっている。簡易裁判所では,47年の終局総人員2万4,625人のうち,6か月以内に終局した者は総数の85.4%(前年89.1%),1年を超えた者は5.9%(前年4.1%)であり,地方裁判所に比べると審理期間はやや短くなっている。

II-33表 通常第一審事件(既済)の審理期間(昭和43年〜47年)

 次に,昭和43年から47年までの5年間について,起訴から控訴審,上告審の終局までの審理期間を年次ごとに百分率にし,控訴審についてみたのがII-34表,上告審についてみたのがII-35表である。まず,控訴審では,47年の控訴審の終局総人員1万111人の12.9%が6月以内に,45.6%が6月を超え1年以内に,33.0%が1年を超え3年以内に終局しているが,3年を超える者が8.5%となっている。45年からは,1年以内に終局するものの比率が逐年減少している。次に,上告審についてみると,47年の上告審の終局総人員3,251人の21.4%が1年以内に,49.0%が1年を超え2年以内に,15.3%が2年を超え3年以内に終局しているが,3年を超える者が14.3%となっている。

II-34表 控訴事件(既済)の起訴から控訴審終局までの審理期間(昭和43年〜47年)

II-35表 上告事件(既済)の起訴から上告審終局までの審理期間(昭和43年〜47年)

 最後に,通常第一審の地方裁判所について,昭和43年から47年までの5年間にわたり,被告人1人当たりの平均審理期間,公判を開いた人員1人当たりの平均開廷回数,平均開廷間隔の推移をみると,II-36表のとおりである。地方裁判所における平均審理期間は,逐年伸長する傾向をみせており,47年では6.6月で,43年に比べ1か月近くも増加している。また,裁定合議事件の平均審理期間と平均開廷回数は,法定合議事件及び単独事件のそれらを大幅に上回っている。

II-36表 地方裁判所における平均審理期間,平均開延回数及び平均開延間隔(昭和43年〜47年)