地域開発は，その地域の自然的条件を背景に，これを経済的あるいは社会的に開拓，発展させることであり，調和のとれた産業開発と社会開発とをその主要な目標とする。
　しかし，その計画や実施過程において，開発は必然的に都市化，工業化など急激な社会変動を促進し，あるいは産業開発重視から社会開発に跛行を生じるなど，現実には多くの問題が生起するところとなり，そこから犯罪その他の社会病理現象の派生することが予測されるに至った。
　このような観点から，地域開発の進展状況を人口移動や工業出荷額等の指標によりとらえるとともに，犯罪の発生率や地域的特性を概観することによって，地域開発の進展と犯罪との関連を以下考察することとする。