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 昭和49年版 犯罪白書 第1編/第2章/第2節/4 

4 風俗関係

 最近5年間の風俗関係特別法犯の検察庁新規受理人員を示したのが,I-38表である。これによると,売春防止法違反は逐年減少している。しかし,売春事犯は,最近ますます犯行が巧妙化して徹底的な検挙は困難となり,犯罪の暗数も相当多数に上ると考えられるので,統計上の数字の減少から,直ちに,現実の犯罪も減少したと断定することはできない。風俗営業等取締法違反も,昭和45年から48年まで減少を続けている。職業安定法違反は,起伏を示しながらも減少する傾向にある。児童福祉法違反は,46年まで増加したが,その後は横ばい状況にある。この種の犯罪は,暴力団による売春,人身売買,資金かせぎなどに関連する場合が多いので,暴力団関係者がこれらの犯罪にどの程度関与しているかをみることとする。48年におけるこの種事犯の検挙人員中に占める暴力団関係者の割合は,職業安定法違反で29.2%,児童福祉法違反で14.6%,売春防止法違反で7.4%,風俗営業等取締法違反で2.3%となっており,児童福祉法違反を除いて,前年の割合より減少している。

I-38表 風俗関係特別法犯検察庁新規受理人員(昭和44年〜48年)

 次に,競馬法違反は,毎年急激に増加しており,過去5年間に受理人員は約10倍に激増している。自転車競技法違反は,起伏のある動きを示しているが,昭和48年の受理人員は,前年とほぼ同数であり,44年の1,6倍となっている。これらの違反行為の大部分は,私設の馬券や車券を客に売り,これが的中すると配当金を渡すというやり方の投票類似行為で,俗に「のみ行為」といわれるものであるが,これらは,暴力団関係者によって行われ,暴力団の資金源の一つとなっていることが多いので,厳重な取締が必要とされる。