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昭和47年において,交通事故関係の業務上(重)過失致死傷により,警察に検挙された少年は6万1,461人で,少年刑法犯の検挙人員中37.9%を占め,少年特別法犯の送致人員中,自動車等の運転に関する道路交通法違反は23万3,623人で,全体の96.0%を占めており,少年犯罪のうち,交通犯罪の占める割合は大きく,その防止が重要な課題の一つとなっている。
まず,成人も含めた全体としての交通犯罪のうち,少年によって犯された事件の占める割合をみてみよう。昭和47年における我が国の有責人口(刑事責任能力のある14歳以上の人口)は,同年10月1日現在の総理府統計局の推計によれば,8,294万7,000人で,そのうち,少年は,998万4,000人であるから,有責人口の12.0%を少年が占めていることになる。そこで,業務上(重)過失致死傷事件及び道路交通法違反事件に占める少年の比率をみると,III-141表,III-142表のとおりである。III-141表は,最近2年間に,検察庁で新規に受理された業務上(重)過失致死傷の人員のうち,少年の占める割合をみたものであるが,業務上過失致死傷については,少年の占める割合が11.1%から10.3%に,重過失致死傷では,36.6%から35.6%にと,いずれもわずかながら減少している。 III-141表 少年の業務上(重)過失致死傷検察庁新規受理人員(昭和46年・47年) III-142表 道路交通法違反少年事件累年比較(昭和43年〜47年) 次に,III-142表は,道路交通法に違反するものとして警察から検察庁及び家庭裁判所に送致され,あるいは昭和43年以降交通反則通告制度の適用を受けて(少年については,昭和45年8月20日から適用)警察官等から告知された者について,最近5年間の総数とこのうちに占める少年の割合をみたものであるが,少年の実数は逐年増加しているものの,その総数に占める割合は,年を追って低下してきており,47年には,実数で68万7,243件,総数に占める割合は9.5%となっている。検察庁における重過失致死傷の新規受理人員のうち,3分の1以上が,少年によって占められているが,これは,次に述べるように,無免許運転の多い少年の交通犯罪の特色を現しているものである。また,昭和47年における少年の道路交通法違反を態様別にみると,III-17図[1]のとおりであり,これを成人事件についてみた同図[2]と比較すると,その間に著しい相違があることが分かる。すなわち,成人事件では,無免許運転が2.7%であるのに対し,少年の場合には,その約6倍の16.3%と大きな割合を占め,その実数も11万1,883件に及んでいる。このように,無免許運転の占める割合の大きいことが,少年の交通犯罪の特徴の一つとなっている。速度違反は,成人,少年ともに1位を占めており,その割合もそれほど大きな違いをみせていないが,その内容を分析してみると,25km/h以上の速度違反が全体の速度違反に占める割合は,成人が20.0%であるのに対し,少年では32.4%と,成人より12%も高くなっている。また,道路交通法違反の中でも危険性の高い無免許,酒酔い,速度違反(25km/h以上)の合計が総数に占める割合を,昭和47年において成人と少年のそれぞれについて算出して比較してみると,成人では13.5%であるのに対し,少年では27.2%であり,少年の道路交通法違反は,危険性の高い態様のものが多いといえる。 III-17図 少年及び成人の道路交通法違反の態様別百分比(昭和47年) 交通犯罪を犯した少年が,家庭裁判所においてどのような終局決定を受けているかを最近5年間の業務上(重)過失致死傷と道交違反についてみたのが,III-143表及び144表である。これによると,業務上(重)過失致死傷は,検察官への逆送率が逐年低下するとともに,不処分及び審判不開始の割合が増加してきており,保護観察の割合も漸増している。一方,道交違反についてみると,昭和46年には,処理総数が大幅に減少するとともに,検察官への逆送率が22.4%と増加し,不処分及び審判不開始の割合が減少したことが目につくが,これは,45年8月から交通反則通告制度が少年にも適用されるようになったことによるものと思われる。III-143表 業務上(重)過失致死傷の家庭裁判所終局決定人員と比率(昭和42〜46年) III-144表 道交違反の家庭裁判所終局決定人員と比率(昭和42年〜46年) |