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 昭和48年版 犯罪白書 第3編/第3章/第1節/3 

3 道路交通法違反事件の最近の傾向

 III-15図は,道路交通法違反事件の最近の傾向をみたものである。昭和42年中に警察から検察庁及び家庭裁判所に送致された道路交通法違反事件470万4,572件と,47年中に警察から検察庁及び家庭裁判所に送致され,あるいは交通反則通告制度の適用を受けて警察官・交通巡視員から反則行為として告知された道路交通法違反事件722万4,302件(前年より,53万3,427件増)とについて,違反の態様別に分類して比較すると,最高速度違反と駐停車違反が,それぞれ第1位と第2位を占めていることは変わりないものの,両者の占める割合が大幅に増加していることが目立っている。また,駐停車違反の割合が約2倍に増加し,無免許運転の割合がほぼ2分の1に減少していることは,自動車台数の増加とこれに対処する駐車規制の強化及び運転免許取得者の増加を反映しているものであろう。なお,昭和47年において,酒酔い運転(酒気帯び運転を含む。)が総数に占める割合は,3.4%で必ずしも大きくはないが,実数では,24万2,485人で,前年より3万1,429人(14.9%)増加していることには警戒を要するものがある。

III-15図 道路交通法違反態様別の百分比

 次に,いわゆる「ひき逃げ」事件について,述べることとする。昭和37年及び昭和43年以降について,人身事故に伴うひき逃げ事件の推移をみると,III-130表のとおりである。これによると,発生件数は,逐年増加し,43年を100とする指数では,47年は140となっており,37年と比較すると,2.6倍に当たる。ひき逃げされた事故の死傷者数の増加は著しく,最近5年間で9,392人増加し,人身事故全体の死傷者中に占める割合も,47年には3.6%と,最近5年間で最も高い数字を示している。一方,ひき逃げ事件の検挙率は,47年は90.4%で,46年同様90%を超えており,37年と比較すると,検挙率は大幅に上昇している。

III-130表 人身事故に伴うひき逃げ事件の累年比較(昭和37年,43年〜47年)