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 昭和48年版 犯罪白書 第3編/第3章/第1節/2 

2 交通事故の最近の傾向

 昭和43年,45年及び47年について,1日当たりの死傷者数を,月別に図示すると,III-14図のとおりであり,各年とも,年の後半に死傷者数が多く,そのピークは,盛夏の8月である。右の死傷者のうち,47年における1日当たりの死亡者数と負傷者数を月別にみたのが,III-125表である。これによると,1日当たりの死亡者数では,12月が49.9人と最も多く,10月,11月,8月がこれに続き,年末と夏,秋の行楽時期に死亡事故が多発したことを示している。1日当たりの負傷者数では,8月の2,804.7人をピークに,7月,11月,4月の順となっている。

III-14図 月別1日平均死傷者数(昭和43年,45年,47年)

III-125表 月別死傷者数(昭和47年)

 III-126表は,自動車による人身事故について,事故の主たる原因があるとされた車両等の種別と発生件数の関係を示したものであるが,これによると,昭和47年は,自家用自動車による事故が,総数の77.8%,事業用自動車による事故が11.6%,二輪車の事故が10.5%となっているが,最も多いのは,自家用普通乗用自動車による事故で,総数の37.4%を占め,次いで,自家用普通貨物自動車による事故の25.1%の順となっている。ところで,昭和47年の事故件数を前年と比較してみると,自家用普通乗用自動車による事故がわずかながら増加したほかは,いずれも減少を示している。

III-126表 事故の主たる原因となった車種別人身事故件数(昭和46年・47年)

 一方,自動車1万台当たりの事故件数をみると,自家用自動車全体が202.7件であるのに対し,事業用自動車全体のそれが978.0件と,かなり高い事故率を示しており,殊に,ハイヤー,タクシーの属する事業用普通自動車のそれは,全車種合計の約7.5倍と著しい高率を示している。
 次に,自動車による人身事故を,事故の類型別に分類して最近5年間の状況をみると,III-127表のとおりである。これにより,総数に対する構成比をみると,昭和47年は,車両相互の事故が68.5%,人対車両の事故が24.1%,車両単独が7.1%,その他が0.2%となっているが,この割合は,ここ数年来ほぼ一定している。なお,警察庁交通局の統計によると,47年中の車両相互の事故のうち,最も多いのは,追突事故であり,次いで,出会いがしらの衝突事故,右折時の側面衝突事故の順となっているが,人対車両の事故では,横断歩行中の事故が最も多く,次いで,路上への飛び出しによる事故となっている。

III-127表 事故類型別発生状況(昭和43年〜47年)

 次のIII-128表は,交通事故による死亡者数と負傷者数について,全国総数に占める7大都市所在の都府県(東京都,神奈川県,愛知県,京都府,大阪府,兵庫県及び福岡県)の比率を示したものである。これによると,昭和47年には,前年に比べて,死亡者と負傷者のいずれについても,7大都府県の占める割合が減少しており,交通事故事件の地方化ないし全国化ともいうべきここ数年来の傾向と同様な傾向を示している。また,7大都府県における交通事故による死傷者は,実数についても,このところ減少しており,47年には,死亡者で401人,負傷者で3万6,475人前年より減少した。

III-128表 全国及び7大都府県の死傷者数(昭和43年〜47年)

 これら7大都府県のうち,大阪府と京都府においては,死者数が,前年より12名と9名それぞれ増加したが,それ以外はいずれも前年より減少を示しており,特に神奈川県が死亡者数で17.2%減,負傷者数で10.8%減,東京都が死亡者数で16.5%減,負傷者数で16.6%減,愛知県が死亡者数で11.2%減,負傷者数で10.3%減と大幅な減少を示している。
 次いで,昭和47年の交通事故による死傷者数を,地方別に前年と対比してみると,III-129表のとおりである。これによると,死亡者数及び負傷者数がいずれもおおむね減少傾向を示している中で,東北地方と九州地方における死亡者数が前年に引き続き増加し,しかも,前年の増加数を大幅に上回っていることが注目される。

III-129表 地方別死傷者数(昭和46年・47年)