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1 収容状況 昭和47年に,少年院に新たに収容された少年は,2,940人(男子2,702人,女子238人)で,前年に比較し総数において350人(男子329人,女子21人)減少している。少年院新収容者は42年以降毎年減少を続けているが,最近3年間の少年院の種類別人員の推移は,III-79表のとおりである。47年においては,初等少年院収容者のみわずかながら増加している。
III-79表 新収容者の少年院種類別人員(昭和45年〜47年) 次に,年末在院者についてみると,III-80表に示すとおり,昭和47年末では,総数3,580人(男子3,241人,女子339人)で,前年同期と比較すると,総数において468人の減少となっている。これを少年院の種類別にみると,中等少年院及び特別少年院においてその在院者の減少(前者において385人,後者において81人の減少)が著しいが,初等少年院においては,わずかながら増加を示している。45年以降,少年院種類別在院者の総数に対する構成比をみると,特別少年院在院者の減少傾向,初等少年院及び医療少年院在院者の増加傾向がみられる。III-80表 在院者の少年院種類別人員(昭和45年〜47年各12月31日現在) 昭和47年における新収容者を年齢別構成比からみると,III-81表に示すとおりである。例年のとおり,18歳以上の年長少年が半数以上(総数の54.6%),16歳・17歳の中間少年が約3分の1(総数の33.8%)の割合を示している。III-81表 新収容者の年齢別構成比(昭和45年〜47年) 次に,III-82表によって,新収容者の行為別人員をみると,昭和47年においては,例年のとおり,窃盗が最も多く,1,457人で新収容者総数の約半数(49.6%)を占め,次いで,強姦・わいせつ340人(11.6%),虞犯247人(8.4%),恐喝225人(7.7%)の順となっている。これを男女別にみて,多いものから主なものを挙げると,男子においては,窃盗,強姦・わいせつ,恐喝,強盗,傷害の順となる。女子においては虞犯が窃盗より多く,しかもそれぞれ総数の40%を超えるため,この2つが大部分を占めている。III-82表 新収容者の行為別構成比(昭和45年〜47年) III-83表 新収容者(男子)の行為別構成比(昭和45年〜47年) III-84表 新収容者(女子)の行為別構成比(昭和45年〜47年) 最近3年間の推移を,構成比を通じてみると,これらの順位に著しい変化はないが,男子において業務上(重)過失致死傷がやや増加する傾向をみせている。最近3年間の新収容者について,家庭裁判所の保護処分歴のある者と,特に少年院再入者の人員並びに新収容者中に占めるこれら二者の割合を示したものが,III-85表である。昭和47年においては,新収容者総数の77.8%,2,288人が保護処分歴を持つ者であり,17.5%,515人が少年院に再入した者である。それらを年齢段階別にみると,例年のとおり年長少年ほど高率となっている。最近3年間の推移をみると,保護処分歴のある者は実数において,14歳・15歳の年少少年を除いて,一貫して減少を続けている。少年院再入者については,その実数は18歳以上の年長少年において減少を示すが,14歳・15歳の年少少年と16歳・17歳の中間少年においては,前年より若干増加している。これを新収容者総数中の比率からみると,保護処分歴のある者は全体としてわずかではあるが増加の傾向を示し,再入者についても前年に比べ増加を示している。 III-85表 新収容者の保護処分歴(昭和45年〜47年) 次に,新収容者のうち,初めて少年院に収容された者について,家庭裁判所における処分歴のある者の人員及び構成比をIII-86表によってみると,昭和47年においては,初めて少年院に収容された者2,425人のうち,審判不開始・不処分を受けた者1,148人(47.3%),保護観察に付された者1,159人(47.8%),教護院・養護施設送致決定を受けた者226人(9.3%)となっている。これらの処分歴を総括して,既に家庭裁判所において何らかの処分を受けた者は,1,773人で,初入院者の73.1%となっている。III-86表 初入院者の保護処分歴(昭和45年〜47年) 新収容者の教育歴をみると,III-87表のとおりである。昭和47年においては,新収容者の64.3%に当たる1,891人は中学卒業者である。これに対し,義務教育未修了者は300人,10.2%となっている。わずかながら例年みられた不就学者は,47年においては1名もみられない。他方,高校及び大学の在学・中退・卒業等の者は749人,25.5%となっている。III-87表によって最近3年間の推移をみると,高校進学歴のある者の総数に対する比率は逐年増加し,47年においては,前述のとおり,新収容者総数の約4分の1に達している。III-87表 新収容者の教育歴別人員(昭和45年〜47年) 法務総合研究所が法務省矯正局の協力を得て昭和47年末現在少年院収容中の高校進学歴を有する少年について調査を実施したところによれば,高校進学歴のある少年群は,学歴が中学卒業にとどまる少年群に比較し,非行の種類,共犯状況,処分歴の内容,所属集団,居住状況,保護者の状況,知能指数,出院後の予定等広範囲に有意差のあることが見出されている。例えば,非行の種類において,窃盗(特に,自動車窃盗)は,学歴が中学卒業にとどまる少年群に多く,強姦・わいせつは高校進学歴ある少年群に多い。また,共犯状況において,前者(中学卒業群)に単独犯が多く,後者(高校進学群)に複数犯が多く,それも学校仲間が多い。処分歴においては,前者に教護院・少年院歴のある者が多く,後者に少ない。出院後の予定において,前者に就職を予定する者が多いのに対して後者は,進学(各種学校入学を含む。)を予定する者が多いなどである。新収容者の非行時の職業は,III-88表のとおりである。約半数(総数の53.6%)は無職の者であり,有職者では,技能工・生産工程従事者(総数の16.1%),サービス業従事者(同7.3%),及び単純労働者(同5.9%)が主なものであり,学生・生徒は総数の10.1%となっている。最近3年間の各年次総数に対する構成比の推移をみると,単純労働者の減少,無職者の増加の傾向がみられる。 III-88表 新収容者の非行時の職業別人員(昭和45年〜47年) 次に,新収容者の知能指数分布をみると,III-89表に示すとおりで,例年のとおり,知能指数の分布は低い方に偏っており,特に女子において著しい。III-89表 新収容者の性別知能指数(昭和47年) 昭和47年の新収容者の精神診断状況は,III-90表に示すとおりである。準正常者が総数の85.3%を占め,次いで,精神薄弱者8.1%(男子196人,女子42人),精神病質者3.8%(男子101人,女子10人)の順となり,正常と診断された者は0.1%(男子のみ4人)となっている。III-90表 新収容者の性別精神診断状況(昭和47年) 昭和47年における少年院出院者総数は,3,534人(男子3,252人,女子282人)で,そのうち,退院は982人,仮退院は2,552人である。その平均在院日数は,退院者のそれが392日,仮退院者のそれが446日となっている。III-91表は,少年院の種類別に退院者・仮退院者の人員,及びそれぞれにおける平均在院日数を最近3年間について示したものである。III-91表 少年院種類別の出院者人員と平均在院日数(昭和45年〜47年) |