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 昭和48年版 犯罪白書 第3編/第1章/第4節/2 

2 収容状況

 昭和47年における全国の少年鑑別所の1日平均収容人員は,788人で,前年のそれと比較すると114人減少している。最近3年間の入出所状況を示したものがIII-77表である。

III-77表 少年鑑別所入出所状況(昭和45年〜47年)

 昭和47年における新収容者についてみると,1万3,930人で前年に比較し,2,521人(男子2,266人,女子255人)減少している。新収容者を入所事由別にみると,その89.9%は,本来の観護措置によるもので,勾留に代わる観護の措置によるものは,新収容者総数の8.5%に当たっている。
 新収容者を男女別及び年齢別に,各年次総数に対する比率を求めると,III-78表のとおりである。女子は,昭和47年において総数の9.7%に当たる。最近3年間の推移をみると,女子は,おおむね総数の1割弱程度で推移している。年齢層別にみると,男女ともに,15歳以下の年少少年及び16歳・17歳の中間少年はその比率において増加の傾向を示しているのに対し,18歳以上の年長少年の割合は減少傾向を示している。

III-78表 新収容者の性別・年齢別人員の比率(昭和45年〜47年)

 昭和47年における年間出所人員は,前掲III-77表に示すとおり,1万5,693人である。これを出所事由別にみると,保護処分決定による者7,093人(45.2%),検察官送致決定による者733人(4.7%),中間処分である試験観察決定による者3,322人(21.2%),移送の決定による者1,584人(10.1%)が主なものとなっている。
 なお,収容状況に関連して,収容少年の処遇に触れると,少年鑑別所における処遇は,収容少年を明るく静かな環境において,少年が安んじて審判を受けられるように配慮することが肝要であることはいうまでもない。しかし,収容少年は,その身柄の拘束によるほか,更に審判を前にして不安にかられている状況にあり,とかく心情不安定に陥りやすい。したがって,このような少年を正しく理解し鑑別するためには,少年に,少年鑑別所を鑑別診断の場として正しく理解させるとともに,収容に伴う拘禁的諸条件をできるだけ緩和し,心情の安定を図ることが必要である。また,鑑別の立場においては,更に進んで,いわゆる治療的・教育的環境における鑑別の場を積極的に構成することが必要である。昭和40年以降少年鑑別所の「標準運営」試行を契機として,鑑別と観護の有機的一体化を目標に,種々の工夫・検討が進められており,観護業務に,オリエンテーション,メンタル・ワーク,カウンセリング,レクリエーション等の処遇プログラムが組織的に組み入れられている。少年鑑別所における,これらの処遇機能の充実は,鑑別における科学的判定の精密性を高めることを目指すものであるが,それは同時に,関係機関による処遇との連係を密にし,更には処遇技術の開発にも一つの役割を果たそうとするものである。