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恩赦は,大別して二つの方法で行われる。国家的慶事などの際に,政令で罪や刑の種類,基準日等を定め,その要件に該当する者に対し一律に行う場合(一般恩赦又は政令恩赦という。)と,有罪の確定裁判を受けた者に対し,その犯情,行状,犯罪後の状況等を個別に審査して行う場合(個別恩赦という。)とである。なお,個別恩赦は,更に,刑事政策的見地から随時行われる常時恩赦と,通常,政令恩赦が行われる際に内閣の定める基準により一定期間を限って行われる特別恩赦とに分かれる。
まず,常時恩赦についてみると,最近5年間の受理及び処理の概況は,II-112表のとおりである。昭和47年の常時恩赦決定総人員は314人で,それを種類別にみると,特赦が133人(42%)で最も多く,次いで,復権116人(37%),刑の執行の免除46人(15%),減刑19人(6%)の順となっている。 II-112表 常時恩赦の受理及び処理人員(昭和43年〜47年) 昭和47年には,いわゆる沖繩復帰恩赦が行われた。すなわち,同年5月15日,政府は沖繩の本土復帰に当たり,復権令(政令第196号)を公布,施行するとともに,同日,特赦,減刑,刑の執行の免除及び復権を内容とする特別恩赦の基準を定めて特別恩赦を実施した。この復権令による復権は,罰金に処せられた者が,原則として昭和47年5月15日の基準日の前日までに罰金を完納したとき,他に禁錮以上の刑に処せられていない限り,法令の定めるところにより喪失し又は停止されていた資格を回復するものとされており,その対象人員は,約650万人である(このうち,交通事犯に関する法令違反者が約500万人と推定されている。)。 また,同時に実施された特別恩赦の基準は,その大綱において,昭和43年11月1日に行われた明治百年記念恩赦の場合と同じであるが,その特色は,沖繩復帰の意義にかんがみ,復帰前には犯罪とされていたが我が国の制度の上で犯罪とすることができない行為をした者,沖繩と本土間の出入国,輸出入等に関する法令により刑に処せられた者について,特赦の恩典を与えることを可能にする基準を設けたほか,一般的に復帰前沖繩の裁判により刑に処せられた者について,特に寛大な取扱いをすることとした。この事件処理は,昭和48年4月27日をもって終結したが,この間,総数2,709人について恩赦の上申があり,このうち,2,174人について恩赦相当の決定があった。 |