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 昭和48年版 犯罪白書 第2編/第1章/第2節/3 

3 起訴後の勾留と保釈

 最近5年間に,通常第一審で終局した被告人のうち,勾留された者の数とその勾留期間をみると,II-23表のとおりである。これによると,昭和46年中に終局した被告人の66.3%に当たる5万2,327人が勾留されているが,このうち,勾留期間が2か月以内の者は,68.4%,3万5,773人である。これに3か月以内の者を加えると,83.3%となり,残り16.7%が3か月を超える勾留を受けたことになる。なお,昭和47年末現在の勾留被告人の総人員数は,9,212人で,勾留期間3か月以内の者が68.1%,3か月を超え1年以内の者が26.9%で,1年を超える者が5.0%となっている(司法統計年間集計表による。)。

II-23表 通常第一審終局被告人の勾留日数別人員(昭和42年〜46年)

 昭和42年から46年までの5年間に,通常第一審で終局した被告人のうち,起訴時に勾留中であった者及び第一審終局までに保釈によって釈放された者などの状況をみると,II-24表のとおりである。これによると,46年は,通常第一審終局被告人総数7万8,932人のうち,起訴時に勾留中であった者が5万1,862人(65.7%)で,そのうち,2万2,886人(44.1%)が保釈によって釈放されている。この保釈の率は,昭和42年以降逐年漸増の傾向を示しているものである。

II-24表 通常第一審終局被告人の保釈状況(昭和42年〜46年)

 次に,最近5年間に,通常第一審で終局した被告人について,保釈に必要な保釈保証金の金額別分布をみたのが,II-25表である。これによると,比較的低額のものが順次減少し,高額のものが逐年増加していることが分かる。各年次とも10万円以上50万円未満のものが最も多く,昭和46年では総数の85.2%を占めている。なお,保釈中に逃走するものがあって,後に述べるように,これが公判審理長期化の理由の1つともなっている。昭和46年末現在で,全裁判所における逃走中の被告人の総数は,2,233人に上り,そのうち,約56%の1,246人が保釈中逃走した者であることは,保釈制度運用の上で考慮にいれておく必要があろう(司法統計年報資料による。)。

II-25表 保釈保証金額別比率(昭和42年〜46年)