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 昭和47年版 犯罪白書 第二編/第三章/一/3 

3 在監・在院者の環境調整

 刑務所,少年院および婦人補導院といった矯正施設に収容された者については,すべて収容後間もなく,本人が希望する釈放時の帰住地が施設において確認され,保護観察所によって,保護観察官または保護司を通じ,その帰住先の調査と調整が行なわれる。昭和四六年に保護観察所が受理した環境調査調整事件(保護観察所長が前記の主旨で矯正施設の長から身上調査書を受けた数)およびこれに対する調査調整報告の状況はII-76表に示すとおりであり,受理総数は三七,〇八二件,調査調整の当初報告は三四,二七五件,おおむね六か月に一回行なう同追報告は四七,六七九件となっている。

II-76表 環境調査調整事件の受理および報告の状況(昭和46年)

 なお,地方更生保護委員会においては,仮釈放審理を充実するため,一部の矯正施設の収容者について,仮釈放準備調査を実施している。これは矯正施設の長から仮釈放の申請を受ける前に,積極的に地方更生保護委員会所属の保護観察官が施設に赴いて,収容者の面接調査を行なうとともに,施設職員とも協議して,仮釈放の審理と環境調整の参考になる資料を収集し,本人の社会復帰を円滑化しようとするものである。この仮釈放準備調査は,従来少数の少年矯正施設の収容者に限って行なわれていたが,昭和四六年からは成人にも行なうことができるようになった。最近はさらに多くの少年施設が対象に加えられ,昭和四七年六月末現在においては,刑務所一,少年刑務所五,少年院二四,計三〇の施設において実施されている。
 昭和四六年において,仮釈放準備調査の対象となった収容者数は,一,六六一人である。同年に調査を終了した者の数は九六三人で,そのうち七二三人が仮釈放になっている。