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 昭和47年版 犯罪白書 第一編/第二章/二/5 

5 風俗関係

 次に,風俗関係について,最近五年間の新規受理人員の推移をみると,I-38表のとおりである。まず,売春防止法違反は,逐年減少を続けている。しかし,もともと売春事犯は,暗数となるものが多いとされ,この統計面における減少が,直ちに実際の犯罪が減少したことを意味するものとはいいがたい。次に,風俗営業等取締決違反は,昭和四四年以降減少をみている。職業安定法違反は,増減を繰り返しながら減少する傾向をみせている。児童福祉法違反は,四四年まで減少したが,四五年に増加に転じ,四六年も前年より増加している。この種の犯罪は,人身売買や暴力団の資金かせぎとなる事犯を含んでいるので,その動向には注意を要する。ちなみに,昭和四六年中に,この種事犯により検挙された暴力団関係者の数を前年に比較すると,四六年は,売春防止法違反では約五%,風俗営業等取締法違反では約二七%いずれも前年より増加しているが,職業安定法違反および児童福祉法違反では前年より減少している。

I-38表 風俗犯関係特別法犯検察庁新規受理人員(昭和42〜46年)

 競馬法違反は,このところ,急激な増加を示し,昭和四六年には,前年の二倍以上,四年前の四二年に比較すると六倍以上の増加となっている。自転車競技法違反は,四六年には,前年より減少しているとはいえ,高い数字を示している。これらの違反行為の大部分は,私設の馬券や車券を客に売って配当金を渡す,俗にいう「のみ行為」であって,暴力団関係者によって行なわれることが多く,その資金源の一つに利用されている。