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 昭和46年版 犯罪白書 第三編/第二章/四/2 

2 保護

 昭和四五年中の保護観察新受総人員五五,三一九人のうち,その罪名が道路交通法違反,業務上または重過失致死傷である者の数はIII-146表のとおりで,新受総人員の二三・七%(一八,〇八三人)にあたる。これを保護観察の種別ごとにみると,保護観察処分少年五二・三%(一四,三二六人),少年院仮退院者一・八%(五六人),仮出獄者一六・〇%(二,八五五人),保護観察付執行猶予者一二・二%(八四六人)となっており,とくに保護観察処分少年の場合は,新受総人員の半数以上が交通犯罪者によって占められている。

III-146表 保護観察新受人員と,うち交通犯罪者の占める数(昭和45年)

 次に,交通犯罪の保護観察対象者を道路交通法違反と業務上(重)過失致死傷とに分けて,昭和四一年以降の新受人員をみると,III-147表のとおりで,起伏はありながら,いずれも増加の傾向が認められる。

III-147表 交通犯罪の保護観察対象者受理状況(昭和41〜45年)

 さきの二表にみるとおり,交通犯罪を犯して保護観察の対象となる者の大半は保護観察処分少年であり,かつまた,交通犯罪少年には,交通法規や安全運転に関する知識を欠き,あるいは,これを軽視する態度が共通してみられるため,全国の大部分の保護観察所において,交通犯罪の保護観察処分少年に対しては,通常の保護観察の処遇に加えて,いわゆる集団処遇を実施して改善更生を図っている。集団処遇の具体的な方式は各地の実情に応じて異なっているが,安全運転に必要な知識,技術を習得させることを目標とする講習会方式,あるいは,定期的な集会をかさね,参加した対象者相互間の自由な討議を通じて,安全運転に必要な運転態度を習得させる座談会方式などが採用されている。
 おわりに,交通犯罪による保護観察対象者の保護観察終了時の成績を,昭和四五年について,保護観察終了者全員のそれと対比すると,III-148表のとおりである。これによると,いずれの種別においても,交通犯罪者のほうが,成績「良好」の占める割合が高く,「不良」の占める割合が低いという結果となっており,交通犯罪の保護観察対象者の成績は,比較的良好であるといえよう。

III-148表 保護観察終了人員中,交通犯罪を犯した者の終了事由別状況(昭和45年)