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 昭和46年版 犯罪白書 第三編/第二章/一/3 

3 道路交通法違反事件の最近の傾向

 III-7図は,昭和四五年中に,警察から検察庁および家庭裁判所に送致され,あるいは,交通反則通告制度の適用を受けて警察官・交通巡視員から反則行為として告知された道路交通法違反事件五,三〇九,四二四件(前年より一,一七四,三一五件増)を,態様別に分類したものである。これによると,最高速度違反が三一・三%で,他の違反態様を引き離して第一位であり,この傾向は,数年間変わっていない。次いで,駐停車違反の二二・七%,無免許運転の六・四%の順となっている。

III-7図 道路交通法違反態様別の百分比(昭和45年)

 次に,交通犯罪の中で,一般に,最も悪質といわれている「ひき逃げ」についてみることとする。道路交通法は,車両等の交通による人の死傷または物の損壊があったとき,当該車両等の運転者その他の乗務員は,直ちに車両等の運転を停止して,負傷者を救護し,道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならないとしているが(道路交通法第七二条第一項前段),その中でも,危険性が高く,犯情の重い,人身事故の発生に伴うひき逃げ事件について,昭和三五年および昭和四一年以降の推移をみると,III-109表のとおりである。これによると,発生件数は年を追って増加し,昭和四一年を一〇〇とする指数では,昭和四五年は一八二になっている。ひき逃げされた事故の死傷者数の増加も著しいものがあり,人身事故全体の死傷者中に占める割合も,昭和四五年には,三・一%と最近五年間で最も高い数字を示している。検挙率は,昭和三五年には,六四・九%であったものが,逐年上昇して,昭和四五年には,八九・四%となっている。

III-109表 ひき逃げ事件累年比較(昭和35,41〜45年)