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3 起訴後の勾留と保釈 起訴後の勾留期間は,公訴提起の日から二か月間であるが,とくに継続の必要がある場合,裁判所は一か月ごとに更新することができる。しかし,特定の場合(必要的保釈除外事由にあたる場合)以外は,更新は一回に限られている。
最近五年間に,通常第一審で終局した被告人のうち,勾留された者の数とその勾留期間をみると,II-22表のとおりである。これによると,昭和四四年中に終局した被告人の六九・九%にあたる五三,五一七人が勾留されているが,このうち勾留期間が二か月以内の者は,七一・三%の三八,一四三人である。これに三か月以内の者を加えると,八五・五%となり,残り一四・五%の者が,三か月をこえる勾留を受けたこととなる。なお,昭和四五年末現在の勾留被告人の総人員は,九,四三四人で,勾留期間三か月以内の者が七二・七%,三か月をこえ一年以内の者が二二・九%で,一年をこえる者が四・四%となっている(司法統計年間集計表による。)。 II-22表 通常第一審終局被告人の勾留日数別人員(昭和40〜44年) 勾留されている被告人は,保釈によって,一定の条件の下に釈放されるが,保釈には,保釈の請求があったとき,必ず保釈を許可しなければならないもの(必要的保釈または権利保釈という。)と,裁判所が裁量で保釈を許すもの(裁量保釈)などがある。昭和四〇年から四四年までの五年間における,通常第一審で終局した被告人について,起訴時に勾留中であった者および第一審終局までに保釈によって釈放された者などの状況をみると,II-23表のとおりである。これによると,終局被告人総数の約七割が起訴時に勾留されているが,このうち三四・八%ないし四〇・二%が,保釈によって釈放されている。保釈されるためには,保釈保証金を納付しなければならないが,この保釈金額は,被告人の出頭を保証するに足る金額を裁判所が決定する。 II-23表 通常第一審終局被告人の保釈状況(昭和40〜44年) II-24表は,最近五年間に,通常第一審で終局した被告人について,保釈保証金の金額別分布をみたものである。これらによると,昭和四四年で最も多いのは,一〇万円以上五〇万円未満で,総数の六八・五%を占め,次いで,五万円以上一〇万円未満の二三・四%となっている。同表の示すとおり,保釈保証金は,逐年低額のものが減少し,高額のものが増加している。なお,保釈中に逃亡する者があって,これが公判審理の長期化の理由の一つとなっている。昭和四四年末現在で,全裁判所における逃亡中の被告人の総数は,二,二四四人にのぼるが,その過半数の一,二六一人が,保釈中逃亡した者であることは,保釈の運用上,注目を要するところである(司法統計年報資料による。)。II-24表 保釈保証金額別比率(昭和40〜44年) |