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 昭和45年版 犯罪白書 第三編/第二章/二/2 

2 被疑者の勾留の状況

 昭和四四年の受理人員一三,四九八人のうち,勾留請求されたのは,七四・一%にあたる一〇,〇〇八人,勾留状の発付をみたものは七,六三八人で,勾留請求人員の七六・三%である。これを前年の数字と比較すると,昭和四三年の受理人員六,一七一人のうち,勾留請求されたのが,六一・三%にあたる三,七八一人で,勾留状の発付をみたものが,その四三・一%にあたる一,六二八人であったから,勾留請求する率も,勾留請求を認容した率も,かなり高くなっていることが認められる。III-12図は,この勾留認容率について,昭和四三年と四四年とに分けて,それぞれ三か月ごとに平均したものの推移を示しているが,四四年は,四三年に比較してかなり高い水準にあることがわかる。

III-12図 集団事件の勾留認容率の推移(昭和43,44年)

 なお,さきのIII-118表により,昭和四四年の主要事件について,勾留認容率をみると,最もその比率の高いのが,一一月五日発生の赤軍派大菩薩峠事件の一〇〇・〇%で,一月一八日発生の東大事件の九七・三%,二月七日から一二日にかけて発生した関学大事件の九五・七%,九月三日発生の早大事件の九五・六%がこれに次いでおり,一方,勾留認容率の最も低いのは,一一月一六日発生の岡山における首相訪米阻止事件の七・一%,次いで,一〇月一九日発生の仙台における反戦反安保デモ事件の一二・五%となっている。