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1 受理人員の推移と処理の概況 昭和四四年中に全国の検察庁で受理した,学生を中心とする集団暴力事件の被疑者数は一三,四九八人で,前年の六,一七一人の約二・二倍となっており,昭和四二年一〇月発生の第一次羽田事件以降,昭和四四年末までの,この種事件の被疑者の受理人員は,合計二〇,〇九一人に達している。
昭和四四年の受理人員一三,四九八人を,たとえば,大学施設の不法占拠,破壊,大学管理者や教授等に対する不法監禁・暴行などの学内事件と,学外の集団暴力事件とに分けてみると,前者が四,九一二人(総数の三六・四%,前年は一,〇五六人),後者が八,五八六人(総数の六三・六%,前年は五,一一五人)となっている。 次のIII-11図は,昭和四三年と四四年とについて,それぞれを三か月ごとに分けたうえ,一か月平均の全国検察庁の受理人員数の推移をみたものであるが,昭和四四年は,前年に比して,比較的類似した起伏をたどりながらも,はるかに高い数字を示して推移していることが明らかであろう。そこで,ちなみにこれらの事件のうち,昭和四四年中の受理人員五〇人以上の事件について,その具体的な受理の状況,さらに処理の状況等についてもみたのが,III-118表である。これによると,最も受理人員の多いのは,同年一一月一六・一七日に発生をみた,東京における首相訪米阻止事件の二,〇三七人で,これに次ぐのは,同年一〇月二一日発生の,東京における国際反戦デー事件の一,三二三人である。前年の昭和四三年において最も受理人員の多かった事件は,同年一〇月二一日発生した新宿事件の五三二人であったから,同年から昭和四四年にかけて,この種事件の受理人員総数が激増しているだけでなく,それぞれの事件についても,いわば大型化していることがうかがわれる。 III-11図 集団事件の1か月平均受理人員の推移(昭和43,44年) III-118表 昭和44年中の受理50人以上の主要学生集団暴力事件受理処理人員(昭和45年4月30日現在) 次に,この種事件の処理状況をみると,昭和四四年に受理した事件の被疑者の中で,起訴された者が三,三九三人(四三年は七五二人,以下同じ。),不起訴が六,八八一人(四,〇四三人),家裁送致が二,九〇五人(一,三六八人)で,起訴と不起訴の合計の中に占める起訴の比率は,三三・〇%(一五・七%)であり,昭和四二年一〇月発生の第一次羽田事件以降,昭和四四年末までに受理されたこの種事件の被疑者のうち,起訴された者の合計は,四,二二五人,不起訴は一一,一六四人,家裁送致は四,三七五人で,起訴と不起訴の合計の中に占める起訴の比率は,二七・五%となっている(以上は,いずれも本年四月三〇日現在の数字で,法務省刑事局の調査による。)。 |