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 昭和45年版 犯罪白書 第二編/第二章/一/4 

4 労役場留置者および監置に処せられた者の処遇

(一) 労役場留置者

 労役場は,罰金または科料の裁判を受けた者がその罰金または科料を完納することができない場合に,その者を一定期間,労役に服させるために留置する施設である。監獄に付設され,男女の分隔等につき監獄に関する規定が準用され(監獄法第八条),行刑施設の特に分界を設けた場所が,これに充てられている。
 労役場留置者の収容状況は,II-77表のとおりであり,年間約二千人が収容されている。昭和四四年における一日平均収容人員は,二三四人であり,最近五年間のそれは,三五七人である。

II-77表 労役場留置者の刑務所・拘置所入出所および年間一日平均収容人員(昭和44年)

 労役場留置者の処遇には,原則として,監獄法令中の懲役受刑者に関する規定が準用される。すなわち,作業時間その他の動作時限は,おおむね懲役受刑者のそれと同じであり,労役も,実質は刑務作業と同じである。ただ,衣類,寝具を自弁することがたてまえとされている点が,懲役受刑者の場合と異なる。
 労役場留置者の中には,懲役または禁錮などの別刑を併有しているものがかなり多いので,その処遇にあたっては,とくに自由刑の執行との均衡が図られている。
 なお,最近五年間の仮出場の状況については,後出のII-86表のとおりである。

(二) 監置に処せられた者

 監置場は,法廷等の秩序維持に関する法律(昭和二七年法律第二八六号)第二条の規定に基づき監置に処せられた者を留置する施設で,労役場と同様,監獄に付設され,男女の分隔等につき監獄に関する規定が準用され,行刑施設の独居舎房の一隅に分界を施して置かれる。
 最近五年間における,監置に処せられた者の収容延べ人員は,II-78表のとおりである。昭和四四年は,学生などによる集団暴力事件の公判審理の進行に伴って,男子一〇三人,女子二人が監置に処せられた。

II-78表 監置に処せられた者の収容延べ人員(昭和40〜44年)

 監置に処せられた者の処遇については,原則として,監獄法令中の刑事被告人に適用すべき規定が準用されるが,接見,信書および給養については,拘留受刑者の処遇と同じである。