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 昭和45年版 犯罪白書 第一編/第二章/五 

五 外国人犯罪

 外国人登録法に基づく外国人の登録人員数を,法務省入国管理局の統計によってみると,I-59表のとおりで,昭和四五年三月三一日現在において,七〇一,〇四八人となっている。これに,外国の外交官,その他外国人登録法による登録の対象とならない外国人の数を含めた場合,常時,わが国にいる外国人の数は,七〇数万人と推定される。

I-59表 外国人登録国籍別人員(昭和45年3月31日現在)

 一方,わが国に入国する外国人の数は,飛躍的に増加している。昭和三四年,三九年,四四年における外国人の入国者を国籍別にみると,I-60表のとおりであって,昭和三四年には,入国者が約一一万八千人にすぎなかったのに,三九年には,約二七万四千人,四四年には,約五一万五千人に激増し,いわゆる万国博の開催される本年には,さらに著しい増加をみることが予想される。

I-60表 外国人正規入国者の国籍別人員(昭和34,39,44年)

 そこで,最近五年間における外国人犯罪の状況を,検察庁の新規受理人員によってみると,I-61表のとおりである。まず,刑法犯についてみると,昭和四三年以降わずかに増加しているが,受理人員総数に対する割合は,むしろ漸減の傾向にある。道交違反は,逐年大幅に減少しているが,総数も減少の傾向にあるため,構成比は横ばいの状態にある。特別法犯は,昭和四三年以降,実数,構成比が,ともに増加する傾向にある。このため,外国人の受理人員総数は,実数においては,右道交違反の減少を反映して,逐年減少しているが,構成比は,特別法犯の増加の影響を受けて,昭和四四年には二・五%と,最近五年間で最も高い数字を示している。

I-61表 外国人犯罪の検察庁新規受理人員(昭和40〜44年)

 次に,昭和四四年における検察庁の新規受理人員について,罪名別に,受理人員総数に対する割合をみると,まず,刑法犯は,総数において二・三%であるのに,賍物関係が九・五%という高率を示し,これに次いで,恐喝が五・四%,賭博・富くじが五・一%,暴行・傷害が四・七%,暴力行為等処罰に関する法律違反が三・九%,強盗が三・四%,殺人が三・一%,窃盗が三・〇%と,総数の比率をかなり上回る数字を示している。特別法犯は,総数において一四・二%と,刑法犯および道交違反に比べてかなり高い率を示しているが,このうち,外国人登録法違反において九九・六%,出入国管理令違反において八七・七%と,そのほとんど全部が外国人によって占められていることは当然として,関税法違反において二六・四%,外国為替及び外国貿易管理法違反においても一八・四%と,かなりの高率を示していることが注目される。
 次に,外国人登録法および出入国管理令の各違反について,検察庁新規受理人員の五年間の推移をみると,I-62表のとおりである。外国人登録法違反は,昭和四二年に一時減少したが,四三年以降,漸増の傾向を示しており,出入国管理令違反は,昭和四一年に激減し,その後も,四二年にわずかな増加がみられるほかは,減少の傾向にある。

I-62表 外国人関係犯罪新規受理人員(昭和40〜44年)